「私は道民の皆さんが育ててくれた政治家だ。北海道から皆さんの声を届ける議席を必ず勝ち取る」
公示日の22日、JR札幌駅南口広場周辺での第一声で、こう声を振り絞った。
予期せぬ、参院選への出馬だ。当初予定していた苫小牧市出身の新人、松橋千春さんが交通事故に見舞われ、急きょ出番が回ってきた。「松橋さんのためにも精いっぱい、やらなければならない」と闘志を燃やす。
元衆院議員。党内有数の理論家で、論客だ。党道委員会のエースでもあり、「再び国政へ押し上げたい」と周囲の期待は高まる。
ロシアのウクライナ侵攻が現実化し、日本でも防衛力強化を訴える政治家が急激に増えている。軍備増強一辺倒の日本にするのか、憲法9条を生かした積極的外交を進めるのか―を、大きな争点に掲げる。
「ウクライナ情勢から日に日に、国内では憲法9条を変える道の議論が進む。私自身は子どもたちに平和な社会をと、教員の時代から願って政治活動に踏み出した。9条を生かした国づくりを訴えていきたい」
地域の平和安全保障をつくるためには「積極的な外交に政治家が、もっともっと前に出るべきだ」と主張。「軍備拡張だけを口にしていれば、何か国を守っているような印象があるが、やはり政治家の役割は外交だ」と語気を強める。
今の政治に欠けているものを問うと、「もうけ最優先で、地域の土台を守るという基本が欠けていると思う」と答えた。美辞麗句の公約を並べるだけでなく、普段から地域に寄り添った政治の大切さを強く訴える。
3年前の前回も出馬して約26万票を獲得し、次点に食い込む健闘を見せた。党としては1989年の高崎裕子氏以来となる道選挙区での議席奪還へ向け、全道各地を奔走する。