氷上のチェスに悪戦苦闘―新人記者がカーリングに挑戦

  • 氷都のいま、ここから, 特集
  • 2022年6月24日
「きれいなフォーム」と高い評価を受けた石川記者
「きれいなフォーム」と高い評価を受けた石川記者
スイープに挑戦の倉下記者は、夢中になるあまりブラシの面が逆向き
スイープに挑戦の倉下記者は、夢中になるあまりブラシの面が逆向き

  女子日本代表「ロコ・ソラーレ(北見)」の冬季五輪での活躍で、一躍注目を集めたカーリング。氷都苫小牧では、1950年代後半に地元アイスホッケーチームが遠征先のカナダから用具一式を持ち帰り、湖面の凍ったウトナイ湖で楽しんだのが初めてという。苫小牧カーリング協会、市ときわスケートセンター=指定管理、北海道ビル綜合管理=協力の下、弊紙スポーツ部記者が競技に挑戦した。

   今年4月に同部へ配属された入社2年目の倉下鈴夏(23)=十勝管内芽室町出身=と、地元苫小牧市出身でアイスホッケー経験豊富な入社1年目の石川優介(25)の新人記者2人。「小学生のときにフロアカーリングはやったことがあるけど、難しそう」(倉下)、「アイスホッケーほど激しさはないし、できる自信はある」(石川)とカーリングへの印象を語る。

   苫小牧カーリング協会の大石和美副会長(73)指導の下、まずはハック(踏み台)を使って約20キロのストーンを前方に投げる動きを実践。セットからリリースまでの五つの基礎動作を、氷面を掃く道具ブルーム片手に行う。「腕を持っていかれそう」と1投目で目を丸くした石川だが、要領を得ると5投目で35メートルほど先にあるハウス中心へストーンをピタリと止めて見せた。

   一方の倉下は悪戦苦闘。ハックを踏み込んだ瞬間に体勢を崩し、何度も氷上に体を打ちつける。ストーンも数メートル進むのがやっとで「やっぱり難しい」と苦笑い。見かねた石川が「ヤップって声を出したらもっと行くのでは」と言うと、大石副会長に「それはブルームで氷を掃いてほしい時に使う言葉。ストーンを投げる際は集中力が大事」と説明され、赤面した。

   カニのように横移動しながら放たれたストーンの進行方向の氷上をブルームで掃く動作、ストーンに左右の回転をかける応用的な投げ方など、あっという間に1時間の体験が終わった。

   倉下は「手足の連動やバランス感覚が大切。思ったよりもハードな競技」。石川は「テレビで見ただけでは分からない、奥深さや難しさがあった」と語った。共にカーリングの魅力に取り付かれた様子で「またやってみたいけどボウリングや卓球、ダーツのように身近に触れる機会がないのはもったいない」と指摘した。

   苫小牧カーリング協会は2014年から旅行会社と提携し、団体旅行者や修学旅行向けの体験ツアーを実施している。コロナ禍前の19年には30件を超える受け入れ。本年度も道外の高校を中心にすでに数件の依頼があるという。

   しかし、市内のカーリングは衰退の一途をたどっているのが現状。大石副会長は「道内発祥の地(同協会)のともしびを絶やしたくはない。道内外の旅行者はもちろん、地域の方々にもカーリングの楽しさを認知してもらえるような取り組みをしていけたら」と話した。

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