「代理母を探して」 内山安雄の取材ノート

  • 内山安雄の取材ノート, 特集
  • 2022年6月24日

 たまには私が直接関与しそうになった、ちょっと刺激の強い話をしてみよう。

 8年前に弱冠24歳の日本人男性がタイで数多くの子供を代理母に産ませていた問題がクローズアップされた。タイ人女性に20人以上(未確認や妊娠中を含む)を代理出産させていたことが発覚し、世界中から注目が集まり、大きな騒動となる。首都バンコクのマンションでは9人の乳幼児が保護され、全て同じ日本人男性の子供であることがDNA鑑定で明らかになった。

 これにちょっと似た出来事が、この私の周りでも起きていた。知人を通して、日本人の大金持ちが代理母になってくれるアジア人を紹介してほしい、と私に打診してきたのだ。

 72歳になる大金持ちは、都心の一等地にビルなど数多くの不動産を所有している。私の知人の会社が、そのうち3つのビルを再開発する事業を提案しているのだという。

 生涯独身を通してきた大金持ちには1人の身寄りもないので、いくら事業を拡大しても張り合いがないのだとか。そこで、実の子供をもうけて、全ての資産と事業を引き継がせたいと考えるようになる。だが、その方策がまったく思いつかない。

 ここぞとばかりに私の知人が、よせばいいのにこう吹きこんだようだ。

 「アジアでなら代理母探しはそんなにむずかしくないですよ」

 で、私におはちが回ってきたというわけだ。

 さらに事情を聞いてみると、単なる代理母ではなく、もし子供を産んでくれる女性が望むならば、ふつうに結婚して親子で暮らしたいらしい。この話を東南アジアの友人たちにしたところ、すぐに何人かの応募者がやってきた。うまく話をまとめれば、謝礼として私が主宰する奨学金事業に数百万円の寄付をしてくれるそうだ。悪い話ではない?

 ただでさえ国際結婚というのは簡単ではない。それなのに言葉も通じず、お金がらみで結婚した2人が、いかにしていい関係を築いていくというのだろうか。たとえば、貧しいアジア人妻は祖国にいる大家族のために仕送りをしなければならない。最初は月々10万円という約束で充分なはずだ。ところが、いずれ大金持ちにその何倍も求めるようになると、もめ事に発展しかねない。

 取材対象としてはなかなか興味深い。が、下手に関与したら、この私がとんでもない事態に巻きこまれてしまいそうだ。君子ではないが、危うきに近寄らずだろう。

 ★メモ 厚真町生まれ。苫小牧工業高等専門学校、慶應義塾大学卒。小説、随筆などで活躍中。「樹海旅団」など著書多数。「ナンミン・ロード」は映画化、「トウキョウ・バグ」は大藪春彦賞の最終候補。浅野温子主演の舞台「悪戦」では原作を書き、苫高専時代の同期生で脚本家・演出家の水谷龍二とコラボした。

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