市内に残る唯一のクラブ ~苫小牧スピードスケート連合少年団~ 36年目のシーズンへ活動開始 競技人口の減少 大きな課題に直面

  • 氷都のいま、ここから, 特集
  • 2022年6月11日
シーズンに向け体力強化に励む少年団のメンバー=4日、市ハイランドスポーツセンター
シーズンに向け体力強化に励む少年団のメンバー=4日、市ハイランドスポーツセンター
少年団発足の初年度、ローラースケートで練習する子どもたち=1986年8月
少年団発足の初年度、ローラースケートで練習する子どもたち=1986年8月

  苫小牧市内唯一のスピードスケート少年団、苫小牧スピードスケート連合少年団が36年目のシーズンに向けて活動を開始した。学校の授業にもなく、比較的なじみの薄いスピードスケートは年々競技人口が減少傾向にあり、今季は小中学生合わせて14人の活動だ。

   子どもたちは7月から始まる屋内氷上練習に合わせて陸上での走り込みで体力向上を図り、氷上に近いローラースケートでフォームや感覚を養う。5月29日の練習で団員の葛西風花(美園小5年)は「走り込みはきついけど、もっと体力を伸ばして大会で優勝したい」と汗をぬぐった。3000メートルなどの長距離を主戦場にする永渕心悠(啓北中3年)は「距離が長くても、最後まで持つように取り組みたい」と話していた。

   同団は1986年5月、65人の初期団員でスタート。80年代初頭には市内に10以上の団体があった。70人以上を抱えるクラブもあったが、年々競技人口は減少。90~2000年代まで存在した澄川・豊川少年団も消滅した。06年には他学年が互いに競い合える環境を―と中学年代の「たるまえ少年団」と小学年代の同団が合併。市内に存在する唯一のクラブとして活動してきた。

   同団の団員推移を見ると1986年からの10年間に比べ、2013年からの10年間は大きく減少。小学生時代に自身も団員として在籍した金子悟志団長は「各学年に10人ほどいて、仲間と楽しく練習していた」と懐かしむ。

   1992年頃から指導を始め、2020年から2年間団長を務めた市スポーツ都市推進課の畠山邦雄課長は「各競技で人口減少が続いている中、スピードスケートは危機的状況にある」と衰退を危惧。「小さい頃から慣れ親しむ環境にないのでは」と指摘する。苫小牧では学校授業でアイスホッケーが選択されるため、スピード競技に興味を持つ子が少ない。また、五輪での日本代表の活躍があっても競技人口が増えない現状を踏まえ、今後は現状維持を最低限に競技者獲得を行う必要性も提起している。

   同団では苫小牧市スポーツ協会と協力し、スピードスケート教室を07年から実施。20人ほど参加するが入団を希望する声は少ない。靴の購入費など保護者の負担を軽減するため、靴のリースも実施している。

   金子団長は同教室で競技の魅力に加え、クラブの活動計画や練習の取り組みなどについての講義などを通して団員獲得を目指すという。競技人口減少という大きな課題に直面する中で、現団員のシーズンに向けた調整が始まっている。

   団員数推移

  1986年 65人

   87年 60人

   88年 57人

   89年 64人

   90年 63人

   91年 58人

   92年 42人

   93年 50人

   94年 43人

   95年 32人

  2013年 10人

   14年 12人

   15年 11人

   16年 11人

   17年 16人

   18年 22人

   19年 17人

   20年 18人

   21年 18人

   22年 14人

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