新型コロナウイルス感染対策の基本とされるマスク着用について、政府は20日、屋外では人との距離が十分確保できなくても、会話をほとんどしない場合は「必要ない」とする見解を示した。屋内でも周囲との距離を保ち、会話を控えれば外すことが可能とし、苫小牧市民からは息苦しさからの解放を歓迎する声が上がる一方、胆振管内で感染拡大が収まらない中、戸惑いも見え隠れする。より明確な基準づくりを求める意見も目立った。
政府見解は、屋外では人と2メートル以上の距離が確保できれば、会話の有無を問わずマスク着用は不要と指摘。距離を取れなくても、ほとんど会話しない場合は必要なく、夏場は熱中症を防ぐため「外すことを推奨する」とした。
ときわ町の吉田央(つかさ)さん(76)は「マスクを携行した上、公共施設ならマナーとして着用すればいいし、屋外での散歩やランニングは会話が少ないのでマスクを外してもいいと思う。どこでもマスクが必要という考え方が少しずつ変わっていけば」と期待を込めた。
「コロナ以前の生活に近づいた」と喜ぶのは、北洋大学3年で女子バスケットボール部の主将を務めるしらかば町の曽根有紗さん(21)。ただ、バスケの練習の合間や試合中のベンチなどで引き続きマスク着用が求められ、「今は仕方ないが、着ける必要がなくなる日が早く来てほしい」と願った。
一時的に推奨されていた2歳以上の未就学児の着用についても「一律には求めない」方針に軌道修正された。4~9歳の3人の子育てをする宮前町の石垣愛さん(39)は、大人以上に子どもはマスク生活の影響を受けていると感じ、人の少ない公園などでは外して遊ばせてきたといい「体への負担を考えると、緩和は良いこと」と歓迎。「熱中症に加え、長期的な酸素不足が将来病気を引き起こさないかも心配。場面に応じた適切な使用が進めば」と語った。
一方、拓勇西町の会社員嶋岡友弥さん(38)は「誰が感染しているのか分からないので、屋外でも不特定多数の人がいる場所ではマスク着用は続けていくつもり。特効薬がない以上、小まめな手指消毒を含めた対策が欠かせない」と述べた。
屋内についても、周囲と2メートル以上距離を確保した上、会話がほとんどなかったり、十分な換気が行われたりする場合、マスクを外すことができるとしているが、表町で額縁や輸入雑貨などを販売する平和堂の及川康志専務(62)は「みんなが同じ気持ちでマスクを外せるよう、感染状況に沿ったはっきりした基準を作った方がよい」と注文。自身は客と会話するため、「マスク着用での接客を続ける」と話した。