Q…庭仕事をしていると、落ち葉の下でサソリに似た5ミリほどの生き物を見つけました。何でしょうか?
A…カニムシだと思います。カニムシは尾が無いサソリのような姿をした体長2ミリから5ミリの節足動物です。カニムシが属するクモ網にはカニムシ目の他にサソリ目、ザトウムシ目などが含まれます。カニムシ目には国内に70種ほどがいます。英語では「scorpion」(サソリ)という名が付けられ、種類などによって「Book-scorpion」「False-scorpion」と呼ばれますが無毒、無害です。危険を感じると爪を広げて後ずさりしながら威嚇する姿から「アトビサリ」「アトシジリ」という別名があります。
森林の落葉層に多く生息していますが、海岸の砂や流木、打ち上げられた海藻の中などに生息する種類がいて、室内の本棚や食器棚などにいることもあります。カニのようなはさみ(触肢)を使ってトビムシなどを捕まえて食べる捕食者です。
春から夏にかけて繁殖し、朽ち木や落ち葉などの間に繭をつくって20個から30個産卵します。親虫は卵がふ化するまで繭の中にいて卵を守り、ふ化した幼虫は脱皮しながら1年から2年で成体になります。
脱皮や抱卵、越冬などの目的で繭をつくり閉じこもり活動しなくなることがあるので、季節によって全く見られないこともあります。詳しい生態は不明です。
土の中に生息する動物は「土壌動物」と呼ばれ、他の虫や小動物を捕まえて食べる捕食者グループと植物や動物の遺骸を食べる分解者グループに分けられる。カニムシは捕食者グループに属し、小さなトビムシやダニなどを食べ、土の中に生息する動物の数を調整する役割を担っています。
(文とイラスト 自然誌研究家〈ゆうふつ原野自然情報センター主宰〉村井雅之)=随時掲載