【ワシントン時事】バイデン米政権は8日、先進7カ国(G7)首脳会議に合わせ、対ロシア追加制裁を発表した。ウクライナの首都キーウ(キエフ)近郊ブチャでの民間人虐殺疑惑などに関与したとされるロシア軍関係者ら約2600人への入国ビザ(査証)発給を制限。軍産複合体への締め付けも一段と強める。
米金融制裁として最も厳しいドル資産凍結を実施するほか、取引禁止措置の対象に軍産複合体を加えた。ライフル銃製造のプロムテフノロギヤ社、兵器輸送に関わる海運会社8社と保有船舶69隻、ロシア情報機関に近い国有銀行モスクワ・インダストリアル・バンクとその子会社10社などが含まれる。
さらに、ウクライナ侵攻を正当化する「偽情報」を流したロシアの主要3放送局をドル資産凍結の対象に初めて指定。個人の金融制裁では、ロシア最大手銀ズベルバンクの幹部8人、3位のガスプロムバンクの幹部27人を追加した。
ロシアへの輸出規制品目も拡大。産業機械用のエンジンなども加え、軍事品の生産や開発に打撃を与える。ロシアの財閥やエリート層の制裁逃れを防ぐため、米国人がロシア企業に会計やコンサルティングのサービスを提供することを6月7日から禁じる。