新型コロナウイルス感染症の軽症患者に日帰り治療を提供するため、3月14日から道が苫小牧市内に開設していた「医療提供ステーション」が28日、当初の予定通り終了した。期間中に患者61人を受け入れて、中和抗体薬の点滴投与を実施し、コロナ感染症病床を設置する苫小牧市立病院と苫小牧日翔病院の負担軽減につなげた。
道としては初めての取り組みで、市と市医師会(沖一郎会長)が運営を担った。風評被害などを防ぐため場所は非公開とし、自宅療養の患者を市職員が車両で送迎。6病床体制で毎週月~土曜の午後、軽症者向けに重症化を防ぐ初期治療の抗体カクテル療法を行った。
同ステーションはもともと、コロナ流行の「第6波」がピークだった2月、市と医師会が道に緊急要望し、臨時施設の位置付けで実現した。市立病院では、コロナ病床24床の平均使用率は2月が約60%、3月が約30%だったが、4月は10%程度と比較的落ち着いた状況となり、予定通り終了することになった。
市立病院は「当院では患者に1泊してもらって治療していたので、日帰りのステーションが受け入れてくれたことで、実人数以上の負担軽減を実感できた」と振り返る。感染再拡大の「第7波」到来とも言われる中の終了となるが、同事業の運営を担う市健康こども部は「現在は子どもや若者の感染が増えているが、中和抗体療法の対象にはならない。状況を考え、保健所と話し合い、終了が決まった」としている。