国立アイヌ民族博物館の第2回テーマ展示「地域からみたアイヌ文化展 白老の衣服文化」が始まりました。本テーマ展示は、アイヌ文化の独自性や多様性を地域の視点から紹介していく当館シリーズ展示「地域からみたアイヌ文化展」の第1回の企画でもあります。今後、ほかの地域にも焦点を当てていく予定です。
今回は、白老地方で伝承されている木綿の衣服であるルウンペに焦点を当て、白老地方の「家系から受け継がれてきた衣服」から「地域で受け継ぐ衣服」への変遷について紹介しています。白老の衣服が一堂に会して展示されるのは本展示が初めてとなります。白老の衣服文化に影響を与えた時代の動向を示すことで、衣服の地域性が形成されていく過程が理解できる展示となっています。
今テーマ展示を準備するに当たり、かつて白老民俗資料館や旧アイヌ民族博物館に勤めていた諸先輩から、白老の衣服の情報や製作者、着用者の人物像を教えていただきました。それらを展示に盛り込むことで、白老の衣服文化の形成過程を具体的に示すことができました。
オープン後の来訪者の感想として、「あっという間に時間が過ぎた」、「一度にたくさんの衣服を見られて良かった」といったお声を頂いています。ウポポイにお越しの際は、ぜひ本展示会をご覧ください。
(国立アイヌ民族博物館学芸主査・八幡巴絵)
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白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館が開催中のテーマ展「白老の衣服文化」(5月15日まで)。白老地方で継承されたアイヌ民族の木綿衣ルウンペに光を当てた今展の意義、主な展示物について、研究者・学芸員の執筆で紹介する。毎週土曜日に掲載。