―引退の心境について。
「平昌後に次の五輪が最後だという気持ちで取り組んできた。メダルには届かなかったけど、自分のすべてを出し切った。今後は仕事を第一に考え、お世話になった方々に恩返ししていきたい。日本は確実に強くなっていて、後輩たちも力をつけている。これからの後輩たちの活躍に期待して、一ファンとして応援していく」
―3度の五輪出場を終えて。
「ずっと目指してきた舞台。初の五輪だったソチでは、先輩たちに支えられ、メンタル面でも強く育ててもらった。必死についていくのがやっとで、それでも夢のような時間だった。努力を無駄にしないように―と挑んだ平昌、北京では、今まで培った経験を生かして責任感を強く持ちながらプレーした。最高の舞台でみんなと一緒に世界を相手に戦えてよかった」
―競技人生での苦悩は。
「2018年、海外での代表合宿で右膝に大けがをした。3回の手術を経て、やっと可動域が戻ったのは20年の3月。後からけがをして病院に来る人たちが自分より先に退院していく…。つらい日々だった。それでも仲間たちから『戻るの待ってるよ』と声を掛けてもらい、必死にリハビリをして何とか復帰できた。みんなと一緒に氷の上に立ちたいという気持ちが強かった」
―獅子内選手にとってアイスホッケーとは。
「チームスポーツならではの、助け合いや思いやりなど競技以外でも多くのことを学んだ。どんな時も仲間がいて、一緒に上を目指して頑張ってきた。一人ではここまで成長できなかった。人生のほとんどを競技にささげてきたけど、勝利をつかむために戦い続けた日々は私の財産になったし、アイスホッケーと出会えてよかった」
(終わり)
―プロフィル
獅子内美帆(ししうち・みほ)
1992年8月、釧路市生まれ。昭和大学職員。ソチ、平昌、北京と3度の五輪出場。トヨタシグナス所属、29歳。