―引退を決めた理由、心境は。
「平昌後、お世話になった友人などに応援の感謝を伝えに行った時に、次も期待している―と言ってもらい、4年後の五輪まで頑張ろうと決めた。今までは自分のためにプレーしてきたけど、この4年間は支えてくれた家族や友人のために競技と向き合ってきた。後輩たちも成長して代表でも活躍している。自分はやり切ったし、次の世代に託したい」
―シグナスでの主将時代を振り返って。
「3年間主将を務めて、強いチームにするためにいろいろ考えた。最初は考え方や取り組む姿勢もばらばらで、お互い意見がぶつかることもあった。練習の時間以外にチームでミーティングを重ね、お互いの意見を遠慮なく言い合うことで全員が一つの方向に向かって上を目指すようになった。結果的に一丸となって目標に向かって戦う強いチームになった」
―海外挑戦で学んだことは。
「体が小さい日本選手は当たり負けする―とソチで海外選手との差を感じ、海外での競技に挑戦したいと思った。フィンランドとカナダに行って必死に食らいついて練習した。毎週のように試合があって実戦経験を多く積むことができ、課題を見つけやすかった。海外でプレーすることで成長できたし、挑戦してよかった」
―3度の五輪を終えて。
「幼稚園の卒園文集でオリンピック選手になると書いた。これまで苦しい時も家族や仲間に助けられてプレーしてきた。常に代表に選ばれることを目標にして周りからの刺激も受けながら進んできた。アイスホッケーは五輪の年に盛り上がりを見せるけど、競技としてはマイナーなスポーツ。今後は競技の普及活動に力を入れて、選手たちのサポートをしていきたい」
―プロフィル
藤本もえこ(ふじもと・もえこ)
1992年8月、苫小牧市生まれ。昭和大学職員。ソチ、平昌、北京と3度の五輪出場。トヨタシグナス所属、29歳。