Q…ウグイス餅には、なぜウグイスという名前が付いているのですか?
A…「ウグイス餅」という名前は、きな粉で覆われた餅の表面がウグイスの羽(背中と腰)の色に似ていることに由来します。ちなみにウグイス餅の名付け親は豊臣秀吉とされ、春の茶会に出された茶菓子の色を見て名前を付けたそうです。さえずる時以外はやぶにいることが多く目立たないウグイスの色を秀吉が知っていたのは、ウグイスの鳴き声を楽しむため飼育していたからなのかもしれません。
オオルリ、コマドリ、ウグイスなどの鳥類は「鳴管(めいかん)と呼ばれる器官を使って鳴くので「鳴禽(めいきん)類」と呼ばれます。鳴禽は美しい声で歌うことから人気があり、盛んに飼育されてきました。鳴禽類は鳴管を使って鳴くことで、息を吸うときも吐くときも発声することができ、複雑な和音を出すこともできます。ウグイスが長くて大きなさえずりができるのも鳴管のおかげです。ちなみに「ホー」は息を吸う時に「ケッキョ」は吐く時に出ます。また、ウグイスは「ホーホケッキョ、ケッキョ」の「ケッキョ」を連続する「谷渡り」と呼ばれる鳴き方もします。
春分の日を過ぎ、フキノトウも顔を出しました。早春の野で、ウグイスの声を聞きながらウグイス餅を味わう。そんな日がもうすぐやって来ます。
(文とイラスト 自然誌研究家〈ゆうふつ原野自然情報センター主宰〉村井雅之)=随時掲載