2018年9月に発生した胆振東部地震から3年6カ月が経過し、見える景色は徐々に変わりつつあるが、むかわ町の復旧復興はまだ道半ばだ。鵡川、穂別両地区の市街地は依然として空洞化した状態で、再生に向けた取り組みが急務。さらに新型コロナウイルス感染拡大の長期化による影響を例外なく受け、昨年は穂別地区の高齢者施設でクラスター(感染者集団)が起きた。今年に入ってからも町内罹患(りかん)者数は日々増えており、まさに待ったなしの状況。町長選で3選を果した竹中喜之氏(68)は「コロナも一つの災害」と位置付け、「コロナ対策と創造的復興」「新しい時代の流れに対応した地方創生」の二つの方針を掲げて3期目をスタートさせる。
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19年度から25年度まで7カ年の復旧復興に関する取り組みを示した胆振東部地震の復興計画は、22年度に折り返しを迎える。
これまでは住環境の整備、災害協定の強化、胆振東部消防組合消防署鵡川支署の移転新築などを進めてきた。今後については「社会情勢や環境の変化に合わせた点検、見直しが必要になる」と指摘。向こう10年の目標として町民と共に中身を作り上げ、昨年度策定した「第2次まちづくり計画(21―30年度)」と、今年度中に成案化する「まちなか再生基本計画(22―25年度)」をかみ合わせ、まちなかを再生し、コミュニティーを創出していく。「震災前の日常に戻すだけではなく、被災前よりも活気のある町を目指す」と竹中氏。
さらに一歩踏み込み、今後の気候変動、災害時に向けた備えを固める「事前復興」(防災)にも注力する。胆振東部地震後に受けた支援や災害発生時のための各種協定の締結から生まれたつながりを生かしながら、まちで活躍する人材もフル活用。交流人口・関係人口を拡大し、新たな人材の育成も図っていく。
人口動態の新たな動きに弾みを付けたいという考えもある。昨年は30~40代の子育て世代の転入者数が転出者数を上回る新たな光明が見えたことを捉えて、子育て基金の設立を検討するなど「子育て環境を充実させたい」と言う。
これまで掲げてきた施策項目のうち、95%を着手済みとした竹中氏。2期目までの取り組みを踏まえ、当選時のあいさつでは「今やらなければならないこと、やれていないこと、やれることをもう一歩先へ進めていきたい」と語った。政策の実現、達成を一つ一つ積み上げた先に、明るい未来の展望が開けてくる。