(上) 今回の選挙を振り返る 山積課題に「身引き締まる」 竹中町長 3選の安心つかの間

近隣から駆け付けた首長らから祝福を受ける竹中氏(右)=15日

  任期満了に伴い、15日に告示されたむかわ町長選。無事に無投票で3選を果たした竹中喜之氏(68)=無所属=は、ほっとする間もなく、「非常に責任が重たいし、身が引き締まる思い」とすぐにかぶとの緒を締めた。これからの険しい道のりを乗り越え、その先の未来へ、まちの力をつなげていくリーダーとしての思いだ。

   「耕(おこ)そう『むかわの底力』で わたしたちの未来へつなぐ」をスローガンにスタートした2期目は、困難の連続だった。2018年3月に当選して半年もたたないうちに、町内で震度6強を観測した胆振東部地震が発生。そこから復旧復興へ確かな歩みを始めたと思いきや、一昨年からは新型コロナウイルス感染症が流行し、復興の足かせとなった。

   そうした中で際立ったのは、柔軟な発想と軽快なフットワークだ。19年7月に大きな被害を受けた胆振東部3町で、最も早く復興計画を策定した。コロナ禍で復興のブレーキがかかった感は否めないが、被災者の住まいの再建をはじめ、今後に備えた避難施設の確保など、できることを一つずつクリアしてきた。コロナ対策でも、役場庁舎執務を分散化し、地元飲食店、産業経営には切れ目のない支援を敢行。20年に仮設住宅入居者が災害公営住宅に転居する際はコロナ禍の状況を鑑み、引っ越しなどにかかる期間の猶予を北海道に自ら要望。応急仮設住宅の入居期限を1カ月延長させるなど、状況に合わせて対応してきた。

   遊説に同行した松並之雄・後援会会長は「有事が続く中、われわれ町民に寄り添ってかじ取りをしてきたという点で強い支持を得られていると思う」と強調。実績を踏まえると、対立候補の擁立は極めて難しかったと言える。昨年12月に行われた町議会定例会で正式に出馬を表明した後、告示日まで対立候補が出る動きはなく、無投票で3選が決まった。

   竹中氏は、新型コロナウイルス感染症対策を最優先としながら、胆振東部地震からの創造的復興、今後の気候変動などで想定される災害に備えた「事前復興」、新たな時代に対応するSDGs(持続可能な開発目標)と連携したまちづくりを進めていく考え。「最高傑作の『つながる』を創り、未来志向の好循環のまちづくり」を掲げる町政リーダーとして、手腕が注目される。

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   むかわ町のリーダーを決める町長選、行政を厳しくチェックし町民の声を届ける町議会議員の選挙によって新体制が決まった。人口減少に加え、胆振東部地震からの復興、新型コロナウイルス感染症対策など山積みになった課題にどう立ち向かっていくのか。今回の選挙戦を振り返るとともに、今後への期待と展望を検証する。

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