先月の北京冬季五輪取材時、バスで乗り合わせたテレビ局勤務のモルドバ人、ミハイ・サンドゥさんと連絡先を交換した。記者の拙い初級英会話に合わせてくれたおかげで話は弾んだ。「冬のスポーツはあまり好きじゃないよ」と冗談交じりに語る気さくな口ぶりが印象的だった。
モルドバは旧ソ連の構成国の一つで1991年の独立後は親欧米と親ロシアの各派が政権を奪い合う構図が続いている。ロシアからの侵攻を受けているウクライナは東側で国境を接する隣国で、戦禍はすぐそこまで迫っている。親欧米路線のモルドバ政府は3日、欧州連合への加盟を申請した。
「状況は緊張していますが、ウクライナほどひどくはありません」。先日、サンドゥさんから連絡が来た。ひとまず無事を確認でき「安全を願っています」と返信した。当事国でなくとも緊迫した情勢に不安を感じているはず。無慈悲な戦争が早く終わることを遠くにいる知人のためにも願いたい。(翔)