15日からテーマ展 「地域からみたアイヌ文化展」第1弾 白老の衣服文化を紹介 国立アイヌ民族博物館

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  • 2022年3月1日
国立アイヌ民族博物館のテーマ展「白老の衣服文化」をPRするポスター

  白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(佐々木史郎館長)で15日から、テーマ展「白老の衣服文化」が開かれる。アイヌ文化の独自性や多様性を地域の視点から紹介する「地域からみたアイヌ文化展」シリーズの第1弾。白老で受け継がれてきた木綿衣のルウンペを中心に貴重な資料を展示する。

   ルウンペは、木綿の生地に細いテープ状の白布や色布を置いて文様を描き、その上に糸で刺しゅうを施した衣服。主に北海道太平洋沿岸の内浦湾から白老にかけて作られた。アイヌ民族のコタンがあった白老でも古くから受け継がれ、地域の伝統文化を象徴する。

   同博物館が企画した「白老の衣服文化」は、白老で現代まで継承されてきたルウンペにスポットを当てた資料展で、▽白老コタンの衣服(衣服から見た白老コタンの歴史・家系で受け継がれた衣服)▽白老民俗資料館時代の衣服(自前で用意した衣服・展示備品として製作された衣服)▽アイヌ民族博物館時代から現代までの衣服(ユニフォームになった衣服・多様化する衣服の広がり)―の3部で構成。ルウンペをはじめ、盛装時に用いたマタンプシ(鉢巻き)、帯、装身具など計約100点を並べる。白老の衣服文化に影響を与えた時代の動向を示しながら、衣服の地域性が形成されていく過程が理解できる内容にするという。

   資料は同博物館の所蔵品のほか、地元町民などから借り受けたものも展示。家庭で大切に引き継がれてきたり、現代の伝承活動で作られたりしたルウンペの数々を紹介し「地域性をどのように表現してきたか。それが伝わる展覧会としたい」と同博物館研究学芸部の八幡巴絵学芸主査は言う。

   テーマ展は5月15日まで。期間中、「シラウォイ ウンクル テケカラペ―白老で活動するアイヌ工芸サークル」と題し、地元の伝承活動を紹介するロビー展も開催する。観覧料は、ウポポイ入場料(大人1200円、高校生600円)に含まれる。入場にはオンラインによる日時指定の予約が必要。月曜休館。

   同博物館は「白老の衣服文化」を皮切りに、各地のアイヌ文化を伝える展覧会を展開していくという。

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