白老町の民族共生象徴空間(ウポポイ)で26日、ロシア東部・サハ共和国の音楽文化をテーマにした講演会が開かれた。北海道科学大学の荏原(えはら)小百合准教授が講師を務め、サハに伝わる口琴「ホムス」について解説した。
アイヌ文化のみならず、世界の多様な伝統文化をウポポイで伝えるため、アイヌ民族文化財団が同大と共催して講演会を企画。園内にある体験学習館を会場に開いた。
2003年から08年までサハに滞在し、国立高等音楽院で教師を務めた荏原准教授はまず、夏と冬の気温差が100度にも及ぶ同国の気候や人々の暮らしを紹介。厳しい自然環境の中で培われた音楽文化や伝統楽器ホムスについて語った。
鉄製の口琴ホムスに関しては「金属の薄い弁を手ではじき、その音を口の中の空気に共鳴させる」と、アイヌの口琴ムックリとの違いを解説。実際に演奏し、美しい音色を響かせ、「サハから出土する鉄で作られたホムスの音を通じて、人々は大地とのつながりを再認識している」と述べた。