ワカサギ釣り愛好者が腕を競う「錦大沼ワカサギ釣り名人2022」が22日午前、苫小牧市樽前の錦大沼で開かれ、白老町の菊地隆憲さん(61)が予選なしの本選1時間勝負を制した。歴代優勝者が、活性が低く群れの薄い魚の対応に苦しむ中、27匹を釣り上げて”名人”の称号を勝ち取った。
錦大沼公園の管理を担う苫小牧市シルバー人材センターが毎年この時期に実施している。従来は予選を勝ち抜いた上位者が本戦で釣果を競ったが、新型コロナウイルスの感染状況を考慮して昨年同様、本戦一発勝負に変更。さらに今季は魚が小型で釣果も少ないため、制限時間を1時間に短縮しての本戦とした。
参加したのは女性4人を含む19人。午前9時に大会が始まった。しかし、こつやポイントを熟知している過去の名人ら常連さえ釣果を積み上げられず皆、厳しい展開に。「小さな魚信はあるが、掛からない」と悩ましい状況が続いた。
そうした中、沖側に釣座を構えた菊地さんは、薄いながらも群れの回遊時に手返しよく魚を釣り上げた。20匹台に乗る人が少ない極めて渋い状況下だけに、釣果発表の際は参加者から称賛の拍手が送られた。
菊地さんは”ホーム”のポロト湖では1日600匹を釣る達人。さおは「穂先の3センチを非常に軟らかくしている」のが特徴で、「どんな小さなワカサギでも確実に当たりを取れる」と言い切る。穂先は農業資材を転用した自作。仕掛けは0・8号の10本針で、餌のサシは3分の1に刻んで付ける。軟らかいさお先が凍りつかないようバーナーで温風を吹き付け、少ないチャンス(魚信)を確実に捉えて優勝を果たした。
「名人戦は3回目の挑戦。去年も一昨年も2位だったのでうれしい」と喜ぶ菊地さん。大会終了後の表彰式で同センターの守屋久義理事長から栄光の「名人キャップ」と記念品が贈られた。
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ワカサギ釣り愛好者と名人戦参加者の有志が22日、ポケットマネーを出し合い、同センターに8150円を寄付した。善意を取りまとめた有志の一人は、ワカサギの資源状況が懸念されるため、「調査や資源の回復につなげてほしい」と話し、守屋理事長に手渡した。
管理するセンターと市は、利用者の声と寄付を踏まえて沼の環境とワカサギ資源の状態の把握、稚魚の放流の検討などについて総合的に対応する必要がありそうだ。