新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」の感染力の強さを、日々の新規感染者数の推移から改めて実感する。感覚がまひしたのか、北海道の一日の感染者数が3千人を超えても驚きは少なくなった。たとえ重症化リスクが低くても、日常の感染対策を緩めることをしてはいけない。
感染を抑える効果があるのは、やはりワクチン接種も大きな武器。それが3回目の接種率がなかなか上がってこない。全国平均でも十数%にすぎない。なぜ、ここまで低いのか。当初政府が、ワクチン接種の期間を8カ月に設定したのも遅れにつながったとの指摘は多い。この8カ月。医学的な見地は何もないという。
もう一つ。ワクチンに対する誤解も。米ファイザー製に比べて米モデルナ製の方が副反応が強いなどの情報が出回り、敬遠している人も多い。確かな情報は何なのか。東京都狛江市が早くから正確な情報を掲載したチラシを作り、全戸に配布した。医師会会長、病院の医師、市長が座談会形式で答えている。ファイザーを3回打つよりも、モデルナを打つ方が「抗体価」が上がることや、副反応も1、2回目より分量が少ないため、弱くなるとの見解だ。
同市ではチラシ配布後に一気にモデルナの接種率が上昇した。正確な情報を早く出して住民の不安や疑問に答える。情報を選択する力も必要だが、自戒を込めて発信側のタイミングや努力は欠かせない。(昭)