日本は先制し、2度先行したものの都度追い付かれ、同点の延長戦後、互いに1人ずつがシュートを放ち合うゲーム・ウイニング・ショット戦に。久保英恵選手が唯一のゴール成功を成し遂げた。
相手GKの両脚間を抜けたパックはゴールラインぎりぎりを超えた。今月8日、北京五輪女子アイスホッケー1次リーグの日本―チェコ戦で津々浦々を沸かせただろう戦いの結末だ。
久保選手は苫小牧出身の39歳で西武所属。小学ホッケー時代から男子に交じっても群を抜く技量を発揮する試合を記者は数多く目にした。女子競技が正式種目化され、日本が開催国として出場した1998年の長野五輪当時は中学生だった。その後、2002年と06年五輪2大会各事前の予選で若手代表として戦うも、ライバル国に惜敗続きで切符獲得はならなかった。
しかし、14年ソチ、18年平昌大会を目指し、予選突破した代表が歓喜する円陣中に久保選手はいた。過去の忘れ物を取り返すようなチェコ戦の決勝点とみた。昨シーズン、話をした際は「女子アイスホッケーのこと、どんどん書いて」と頼まれた。長年競技の道を歩み続けたベテランが今回、念願の準々決勝ラウンドで見た光景はどんなものだったか。いつか尋ねたい。
依然コロナ下。あの決勝点の日、集団観戦会は代表練習拠点の苫小牧で開かれなかったが、応援した市民の歓声が聞こえた気がした。次期代表が五輪準決勝進出する日を夢見る。(谷)