20日を期限に道内全域に適用されている「まん延防止等重点措置」について、道は15日、期間の延長を政府に要請した。鈴木直道知事は延長後も「全道域を対象にしたい」とし、期間は17日にも政府が決定する。1月27日から始まった重点措置で、苫小牧市内でも営業時間短縮が続く飲食店などが苦境を強いられているが、市民からは「やむを得ない」「今は我慢の時」といった声が出ている。
予約制で営業を続けている鮨旬彩処松もと(錦町)大将の松本芳広さん(58)は「休みたくて休んでいる店はない。(国は)飲食店が安心できるフォローをしなければ『街』が死んでしまうよ」と嘆く。最近は「周囲で感染者が出た」というキャンセルの連絡も増えているという。
1日2組限定で営業する鮨鷹(同)大将の松本悠希さん(34)は「利益は考えず、お客さんとの信頼関係づくりの期間と割り切っている」と冷静に受け止める一方で、「最低限の補償はされていると思うが、それがなくなった後の不安も拭えない」と語る。
期間中は休業を続けるBar&meal Cuisine(同)代表の井口佐久さん(38)は「感染状況を考えると延長は仕方ないと思う。元の生活に戻れる日まで耐えるしかないのかな。再延長になんてならなければいいが」と話した。
「重点措置の延長要請は残念だけど仕方がない」と語るのは、ホテル杉田(表町)の佐藤聰代表(56)。イベントやスポーツ大会の中止が相次ぎ、家族連れ、観光客の利用は少ないが工事関係者の宿泊については一定の需要があり、「前年同時期に比べ稼働率は極端に落ちていない」と語る。ただ、コロナ前より2割ほど減少しており、「コロナ禍3年目でホテル業界は経営体力が弱まっている。行政には固定資産税減免など直接的な支援をお願いしたい」と訴える。
イオンモール苫小牧(柳町)内の映画館「ディノスシネマズ苫小牧」の支配人を務める杉保智さん(39)は、重点措置適用以降、観客動員数が落ち込んでいるが「館内から感染者は一人も出ていない。(来場者の)理解と協力のおかげ」と感謝。「引き続き粛々と予防対策を講じ安心、安全な環境を提供する」と述べた。
双葉町の看護師鈴木絢子さん(39)は3回目のワクチン接種が進まない現状や医療提供体制などを踏まえ、「今は感染を抑えることが最優先」と強調。重点措置の期間延長は歓迎するが「困り事を抱えながらも社会の中で孤立している人がいるのではないか。市は措置下の市民生活にも目を向けてほしい」と訴える。
ウトナイ北の保育士石森恵美さん(39)も重点措置の期間延長に賛成。長男が通う小学校も今年に入って児童の感染で閉鎖措置が取られたといい、「誰がいつ、どこで感染してもおかしくない状況」と危機感を募らせる。
緑町のパート従業員高森美枝子さん(69)は「以前はなじみの飲食店に短時間ながら顔を出すこともあったが、重点措置が適用されてからさらに外出の機会を減らしている」とため息。「サークル活動の中止も長引いて寂しいが、みんなが行動自粛をしないとコロナは終息に向かわない」と話した。