北京冬季五輪前半はアイスホッケー女子スマイルジャパンにくぎ付けだった。17人が苫小牧ゆかりの選手で、ゴールが決まるたびに得点者が「ゆかり」かどうか新聞記事で確かめた。3回目の五輪挑戦となったチーム最年長39歳の久保英恵選手は1次リーグ最終8日のチェコ戦でただ一人、延長戦にもつれ込んだ末のゲームウイニングショットを決めた。
同じく3回目の出場で3連覇を目指したフィギュアスケートの羽生結弦選手。10日の順位確定後、「努力って報われないなって思いました。どんなにいろんなことを積んできても、どんなに正しいことをやってきても、報われない時は報われないんだなって」と振り返った。聞くのがつらかった。五輪選手とは比べようもないが、例えば平和への努力や、多くの人が日常生活の中で積み重ねているささやかな努力も、報われる根拠など何もないのだと突き付けられたようで胸が詰まった。
再びスマイルジャパン。12日の準々決勝はフィンランドに歯が立たなかった。それでも、全敗の2014年ソチ、初勝利を挙げたものの1次リーグ敗退の18年平昌、初の決勝トーナメント進出の今回と、一段ずつ確実に階段を上ってきた。「最後の五輪」と臨んだ久保選手は「次こそメダルを」と後輩に望みを託した。フィンランド戦で唯一得点を挙げた20歳の志賀紅音選手は「人より努力して練習する」と語った。「努力」の意味をもう一度信じたい。(吉)