立春は過ぎたが、本道は冬真っただ中。苫小牧市も最低気温が連日、氷点下10度を下回る。早朝に漁港を訪れると、けあらしが発生していた。防波堤を包み込む幻想的な光景に、見とれたくもなるが、じっとしていると凍える。漁業者も寒さを吹き飛ばすように、威勢よく魚介類を水揚げする。
以前も当欄で書いたが、苫小牧の水揚げ魚種は、100種類以上を誇る。漁獲量21年連続日本一のホッキ、秋サケ、スケトウダラが「3本柱」だが、脇役たちも豊富。これからの季節は春告魚(はるつげうお)のニシン刺し網漁が本格化する。昨夏はホッケが記録的な大漁だった。カレイは通年で漁獲され、10種類以上と多様だ。
仕事帰りスーパーに立ち寄ると、大抵は魚の切り身が売れ残り、安い価格で並んでいる。当方の目当ては旬のババガレイ。フライパンに水と酒、調味料を適量ずつ入れ、カレイに薄切りのショウガを乗せ、10分ほど煮れば、簡単に立派な酒のあて。えんがわのぷるぷるは多分コラーゲン。自分には必要ないが、美容にも良さそうだ。
苫小牧漁業協同組合、マルトマ苫小牧卸売が魚食離れを防ごうと力を入れている。市内小中学校の給食用として、安価で加工、供給する仕組みを整え、1月に最初のメニュー「ホッケの昆布しょうゆ焼き」が登場した。「本物」を子どものうちに知ることは、食育の観点からも有意義だろう。魚好きが増えることを期待している。(金)