苫小牧日翔病院(苫小牧市矢代町)は、新型コロナウイルス感染症のクラスター(感染者集団)が発生する中、地域医療を守るため懸命の対応を続けている。コロナ感染症病床を拡大し、院内で感染が確認された患者を収容しながら、細やかな健康観察と検査を展開。13日まで外来診療などを縮小する予定だが、発熱外来の受け入れなどは継続しており、同院は「収束に向けて全力で取り組む」と理解と協力を求めている。
同院は昨年6月からコロナ感染症病床を開設する重点医療機関。一般病棟4棟168床のうち、1病棟40床をコロナ病床12床に代えている。同院によると、2月2日にコロナ病棟とは別の病棟で、患者1人のコロナ感染を確認。接触した可能性がある患者も検査したところ、さらに感染が確認されたため、7日までに患者41人、職員(委託業者含む)349人を検査し、患者26人、職員8人の感染が確認された。
同院によると、検査で一度陰性になった人が、後に陽性と判明するケースがあるという。同院は入院患者を受け入れる際、PCR検査を実施しており、今回始めに感染が確認された患者も、数日前に陰性を確認していた。同院は「(患者が)喉の痛みを訴え、念のために検査したら感染が確認された。結果として、感染が病棟内に持ち込まれた」と新たな変異株オミクロン株の感染力の強さを指摘する。
一方、感染症病床を持つ病院としてコロナ対策は徹底しており、職員への感染は局所的にとどまった。他の一般病棟で患者の感染事例もなかったため、当該病棟をコロナ感染症病床に転用し、感染拡大の抑え込みに努めている。陽性患者は全員コロナ症状としては軽症以下といい、健康観察をより厳重にし、院内で検査を繰り返している。10、11日も大規模再検査を実施する予定で、同院は「患者を守ることを最優先に取り組む」としている。
13日まで手術や各種検査、外来の対面診療、新規入院、救急の受け入れは停止する予定だが、コロナ禍による地域医療の逼迫(ひっぱく)を踏まえ、発熱外来は続けており、常時一日約50人を診察している。透析患者の受け入れなども続けており、「皆さまにはご迷惑をお掛けするが、地域医療が崩壊するような事態だけは避けたい」と強調している。