【北京・石井翔太】北京冬季五輪のアイスホッケー女子は8日、予選1次リーグ4試合が行われた。グループBの日本はチェコにゲームウイニングショット(GWS)の末に3―2で競り勝ち、予選をグループ首位で突破した。スマイルジャパンは12日の準々決勝でグループA3位のフィンランドと対戦する。
準決勝で米国とぶつかるのを避けるためにも、どうしてもB組1位突破を果たしたかった1次リーグ最終戦。チェコとの激闘を制し、FW大澤ちほ(苫小牧出身)は「どんな展開だろうが、勝つのが大事。すごく大きな一歩だったと思う」と胸をなで下ろした。
▽予選リーググループB
日 本(勝点9)3―2チ ェ コ(勝点7)
▽得点者【日】床秦(志賀葵、床亜)床秦(久保、床亜)久保▽GK【日】藤本
日本は第1ピリオド、FW床秦が数的優位のパワープレーの混戦からリバウンドを決めて先制したが、一進一退の攻防が続き延長戦へ突入。GWSでFW久保が決めて逃げ切った。
スウェーデン(勝点6)3―1デンマーク(勝点3)
▽順位 (1)日本(9)(2)チェコ(7)(3)スウェーデン(6)(4)中国(5)(5)デンマーク(3)
※かっこ内は勝ち点
▽同A
カ ナ ダ(勝点12)4―2米 国(勝点9)
フィンランド(勝点3)5―0ロ シ ア(勝点3)
▽順位 (1)カナダ(12)(2)米国(9)(3)フィンランド(3)(4)ロシア(3)(5)スイス(3)
―チェコの猛攻堅守でしのぐ
苦しい展開となったが、チェコの猛攻を粘りの守備でしのぎ切った日本。ゲームウイニングショットにもつれる激闘を見事制して目標だった予選1位通過を果たした。
数的優位のパワープレーでFW床秦留可(SEIBUプリンセスラビッツ)が2ゴールを挙げたが、試合内容は劣勢だった。チェコにパックをキープされ、自陣から出せない局面が多くなり、攻撃につながらなかった。
その分、日本の守りは堅かった。初戦で初ゴールを挙げるなど攻守での活躍が目立っているDF小池詩織(道路建設ペリグリン)は「押される時間は長かったけど、マークを外さずにきっちり守れた」と納得の口ぶりだった。
シュート数は日本の25本に対してチェコは38本。GWSで全5本を落ち着いてセーブして見せたGK藤本那菜を中心に、決定的なピンチも冷静に対応。飯塚祐司監督は「延長戦でもナイスセーブに助けられた」と守護神をたたえた。
―ベテラン久保、ゴールこじ開ける
劣勢の中で唯一のゴールをこじ開けたのは頼れるベテランだった。GWSで2人目だったFW久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)は、GKが1人目の浮田に対して守る際、前に出てくる様子を観察。「シュートよりフェイントがいいと判断した」と冷静に相手の股下にパックをくぐらせた。6日の中国戦はGWSで敗れていたが、「私は振り返らないタイプなので」。最年長の39歳は豪快に笑って見せた。
平昌五輪からの4年間、目標を高くし、メダル獲得を目指してきた。圧倒的な力を持つ米国、カナダとの対戦を回避できたことでチャンスは確実に広がった。この日2得点のFW床秦は「まずは通過点。ここからどんどん上に行けたらいい」。貪欲に先を見据えている。