北町貫多

  • ニュース, 夕刊時評
  • 2022年2月7日

 苦役列車シリーズの破天荒な主人公「北町貫多」には、率直過ぎる作者自身の姿が投影されている。破滅型の私小説で知られる西村賢太さんが5日、54歳で亡くなった。不安定な生活の中、読書を唯一の楽しみとした自我むき出しの若者を描き、芥川賞を受けた苦役列車は森山未來さん主演で映画化された。西村さんは酷評したが追悼を兼ね初めて見ると、昭和後期の路地裏の描写や共演者を含めた演技は素晴らしかった。

 中学卒業後、日雇い仕事などで生計を立てながら小説を執筆。言葉選びが秀逸で、実体験がにじむ無二の文体は高く評価され、敬愛した石原慎太郎氏からかわいがられた。権威にこびない型破りな発言もたびたび話題になった。

 都会的で洗練された青春物語を書く若手作家は次々と誕生しているが、昭和の路地裏に漂っていた暗く、混沌(こんとん)とした空気感を西村さんのように表現できる作家はなかなかいない。気さくだがどこか陰のある無頼派。インテリぶることなく、コンプライアンスに厳しい世の中で本音を隠さず生きる姿が印象に残っている。常に心に忠実だった。石原氏や心酔した大正期の作家藤沢清造の命日と近いのはどういう巡り合わせか。よく酒を飲み、不摂生なイメージが強かったが、あまりに早過ぎる死。新しい時代にどんな「貫多もの」を届けてくれるのか楽しみにしていた。言いしれぬ寂しさを感じている。(輝)

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