新型コロナウイルスワクチンの3回目接種をめぐり、初回(1、2回目)に職域接種を実施した苫小牧市内の企業・団体で対応が分かれている。一般財団法人ハスカッププラザと苫小牧廃棄物協同組合は現時点で実施予定はなく、トヨタ自動車北海道は実施する方針。申請しない理由や事情はそれぞれ異なるが、実施する場合も打ち手の確保など課題は多い。
ハスカッププラザは昨年7~9月、中小企業の希望を取りまとめ、市保健センター(旭町)で約1万8000人に初回の職域接種をしたが、現時点で3回目は実施しない考え。市が個別接種(医療機関)は米ファイザー製、集団接種(グランドホテルニュー王子)は米モデルナ製とすみ分けた上、さらなる前倒しにも対応しているためだ。
さらに昨年12月以降、初回接種を希望する一般市民を対象に「フォローアップ接種」を展開し、一定量のニーズへの対応を続けている。同プラザに共同出資する市や市医師会と連携しながら今後の方針を決めるが、3回目接種で高齢者施設への巡回接種も検討しており、同プラザは「今後も関係者で接種、協力体制を考えたい」と話している。
苫小牧廃棄物協同組合も3回目の申請を見送る。昨年9、10月に加盟事業所の従業員やその家族、関係業者などに実施したが、「(職域接種に必要な)1000人の確保は大変だった」と振り返る。3回目は接種要件が500人以上に緩和されたが、同組合は「接種券が届いた順に打てばよく、市も先行接種に取り組んでいる。手間暇かけてやっても優先接種にならないのでは、必要性を感じない」と話す。
一方、トヨタ自動車北海道は実施する方針。同7~9月に同社や協力会社の従業員約3000人が接種しており、「これだけの人数が医療機関や集団接種会場に流れるより、社内で接種した方が地域全体の接種加速化につながる」と見通す。地域や自治体の負担軽減が目的とのスタンスだが、国の前倒し方針などで打ち手不足になる懸念もあり、「関係機関と調整して正式に決める」としている。