《15》 努力賞 「仲間と共に邁進する」 青翔中学校2年 横山 行雲さん

  • 特集, 苫小牧市中学生主張発表大会
  • 2022年2月3日

  小学生のある日、中学校のバスケットボールの試合を見に行ったことがあった。会場には多くの方々が集まり、大きな声援が響き渡っていたことを覚えている。すでにバスケットボールの少年団に所属しており、中学校の部活動でもバスケットボール部に入部しようと固く心に決めていた。

   入学し練習に参加し始めたときから、先輩方の姿は尊敬に値する素晴らしいものだった。バスケットボールの技術、リーダーシップなどあらゆる面で手本となる先輩であり、地区大会での優勝を果たすなど、部活動へ取り組む姿勢がそのまま結果につながるものであった。これからの中体連など大きな大会、全道大会、全国大会にもつながるものと大きな期待を寄せていた。厳しい練習をともに行い、様々なことを学ぶとともに大切で有意義な時間を過ごすことができていた。しかし…。

   新型コロナウイルスは僕たちに大きな影響を与えた。部活動が制限され、一時は登校すらできなくなってしまった。ようやく登校が始まっても、部活動を十分に行うことはできず、大会が実施されるのかも分からないまま、不安な心で日々を過ごしていた。そして、ついにその日はやってきた。部員が全員集まったミーティングの中で、「中体連は中止になった」

   冷静な顧問の言葉が広い体育館で僕の耳に響いた。その言葉の意味を受け入れるのには若干の時間を要した。安易に認めることはできなかった。冷静になろうとしても、悔しさが込み上げてきた。今までの練習は何のためだったのか、そんな気持ちになっていた。今後、何を目指して取り組めばいいのか。目標を見失い、失望感にさいなまれてしまった。

   しかし、3年生は違っていた。大会が実施されない中での練習に、今までと変わることなく、声を掛け合い、励まし合い、全員で、全力で努力を続けていた。その姿を見ながら、練習に参加する中で、次第に「僕も頑張ろう」「負けられない」という気持ちが沸き立ち、チームの力になりたいと意欲的に練習に取り組んでいくようになっていた。

   その後、中体連は実施されることはなかったが、その代替の大会の中で地区大会を勝ち進み、全道大会で3位という素晴らしい結果を残すこととなった。

   なぜ、3年生はあの状況の中で、それまでと変わることなく練習に取り組めたのだろう。

   先が見えない中、目標を見定め、目標を見失うことなく、この取り組みが必ず報われると信じ、努力を続けてきたからに違いない。そして、その気持ちを切らすことなく、継続できたのは、ともに努力を続けることができる仲間がいたからだ。

   先輩の方々から多くを学ぶことができた僕たちのチームも先日の大会で良い結果を出すことができた。そこで、より一層仲間とともに力を合わせ、同じ目標に向けて進んでいくことの喜びを感じることができた。どんな状況の中でも助け合い、ともに進んでいける仲間がいることは、心の大きな支えとなる。

   僕はこのことを、生徒会活動を通しても強く感じることができた。昨年度後期から生徒会副会長、今年度後期からは生徒会会長として活動する中で、近年のコロナウイルスに関わる環境の変化は、大きな壁であり、僕たちに与えられた大きな課題でもあった。

   学校で最も大きな行事である学校祭をいかに実施していくのか。学級の力、みんなの力を発表する場でありながら、多くの人が集まることは許されない環境下での学校祭。学級の力、生徒会の力をどのような形で表現するのかを、先生を含めて生徒会では何度も話し合いを重ね、試行錯誤を続けた。 

   生放送システムを利用する中で、「合唱がなくて本当にいいのか」「この内容でみんなの心に響くのか」互いに意見を出し合い、内容の変更を重ねながら、僕たち生徒会執行部の気持ちは、一つになっていった。「学校祭を成功させよう」「限られた状況の中で、できる限りのことをやりきろう」。何度も話し合い、練習をし、作業を行い、不安な気持ちは次第に自信へと変わっていった。共に目標に向けて取り組むことが、学校祭成功に結びついたに違いない。

   これからの人生でも、きっと壁にぶつかり、もしかすると目標を見失いそうになることがあるかもしれない。それでも、僕の周りにはたくさんの仲間がいる。部活動、友達、家族、多くの人たちに支えられて、僕は人生を歩んでいる。これからの道も仲間と共に、仲間を信じ、目標を持って邁(まい)進していきたい。

  (終わり)

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