《14》 努力賞 「自然と共に生きる」 啓明中学校2年 佐々木 遙斗さん

  • 特集, 苫小牧市中学生主張発表大会
  • 2022年2月2日

  幼い頃の私が、1番好きだったこと。それは自然の中でのびのびと遊ぶことでした。

   私の通っていた幼稚園は、森に囲まれていました。その頃のことを思い出すと、今でも心が弾んでくるのを感じます。

   トカゲを見つけた時の高揚感、木に登って初めて苫小牧の景色を見た時の感動。絶えることのない数々の発見をしました。

   しかし今、その自然がおかしくなっています。最近の日本でも、異常気象や自然破壊、野生動物の絶滅といった事案が多数起きています。地球温暖化をくい止めるための、訴えや方策が数多く叫ばれていますが、それぞれの国や地域における経済活動等の事情から、実際のところ地球温暖化をくい止める取組は進んでいないのが実情です。

   どうすればよいのでしょうか。

   私は現在、部活動でバスケットボールをしています。私がバスケットと真剣に向き合えるのは、そこに「思い」があるからです。好きだから、楽しいから、感動があるから、新しい発見があるから…。

   もしかすると、このことは、多くの人に環境保全について考えてもらうためのヒントになるのではないか。私はそう思いました。

   なぜ、我々には自然が必要なのか。角度を変えて、考えてみよう。そこで私は身近にある森や川に自ら足を運んでみることにしました。

   私が最初に選んだのは錦大沼です。そこは、自宅からも近く、気軽に行くことができる身近な自然です。錦大沼に続く道の途中、魚が泳ぐ小さな川やたくさんの種類の木々を目にすることができます。同じ川、同じ木々ですが、季節の変化でまったく違う表情を見せてくれます。そしてそのことが、私に、「新しい発見」と「新鮮な感動」を与えてくれます。

   次に、私が選んだ場所は支笏湖です。皆さんもご存じの通り、支笏湖ではカヌーやキャンプ、釣りなどのレジャーを楽しむことができます。1時間以上かかって小さなマスを釣り上げることができた時の「楽しさ」、雪景色の中、湖水で作られた巨大なつららを見た時の「喜び」、そして、家族や仲間の輪ができ、「笑顔」が生まれます。

   最後に、ウトナイ湖です。ウトナイ湖は、ラムサール条約に登録され、国際的にも知られる貴重な自然です。サンクチュアリでは、数多くの野鳥や動物を観察することができます。数多くの白鳥やカモが泳ぎ、鳥たちのさえずりが聞こえます。たとえ姿は見えなくとも、鳥たちの声を聞くだけで、心が温かくなっていくのを感じます。花や木、動物たち、湖、川。そのすべてが訪れた人に「やすらぎ」と「癒やし」を与えてくれます。

   時に大災害を引き起こし、人間に牙をむく自然。しかしその自然は、人間の生活に必要な「物資」を提供してくれる存在だけではなく、「発見」「感動」「楽しさ」「喜び」「やすらぎ」「癒やし」「笑顔」という、人間の心の「資源」も提供してくれるありがたい存在であることを改めて感じることができました。そしてそれは、コロナ禍の今こそ必要なものではないでしょうか。

   自然に対する捉え方、見方を変える。そうすることで、自然に対し畏敬の念を抱き、環境破壊について、改めて目を向け、耳を傾けて、真剣に向き合う人が増えるのではないでしょうか。一人一人の力は小さいかもしれませんが、同じ考えを持つ人が集まれば、大きな力となります。

   私はこれからも、リフューズ、リデュース、リユース、リサイクルといった、自分自身が自然環境のためにできることをしっかりと行い、そして、できる限り自然を訪れ、その大切さを実感しながら環境問題に目を向けていきたいと思います。

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