新型コロナウイルスの変異株「オミクロン株」による「第6波」が、苫小牧市内の保育施設や幼稚園を直撃している。今年に入って休園した園は延べ13園に上り、子どもの受け入れを継続している園も「綱渡り状態」と危機感を強めている。さらに自身や家族が濃厚接触者になるなどして出勤できない保育士も増えており、人手不足が深刻化している。
市内の保育施設や幼稚園では1月20日以降、休園が相次いでいる。弥生町の認定こども園かおり幼稚園(定員135人)もその一つで24日、園児の感染が確認されたため休園措置を講じた。
ただ、道の方針転換で保育施設などは保健所の疫学調査の対象外に。濃厚接触者の特定を園で行うことになったが、井石彰園長は「具体的な基準もない中、園児がどこで誰と、どのように過ごしていたかといった記憶をたどり、濃厚接触者を特定するのはあまりにも困難」と打ち明ける。結局、同園は他の園児や職員を「濃厚接触者『疑い』」と位置付け、健康観察を続けることにし、同月31日の全面再開まで7日間を要した。
園児1人の感染が判明し、1月21日から23日まで休園したウトナイ南のうとない保育園の細井智子園長は「たまたますぐに再開できる状況だったけど、毎回そうとは限らない」と指摘。「濃厚接触者の特定が進まなければ休園は長期化し、市民生活への影響も大きくなる」と懸念する。
これまでに施設内で感染者が出ていない園も、「次は自分たちかもしれない」と警戒感を強めている。
市内西部の認定こども園は、園児や家族がPCR検査を受けた―という連絡を毎日のように受けている。同園では登園時の健康チェックを厳格に行い、発熱の無い風邪症状でも医師の診断を受けてから登園させるよう保護者に強く要請。それでも園内での集団感染の可能性をゼロにはできず、「正直、これ以上は手の打ちようがない」と明かす。
感染急拡大で、保育士不足も深刻化している。保育士の子どもが通う学校が休校となったり、自身や家族が濃厚接触者になったりして、出勤できなくなるケースが多発している。
元中野町のなかの保育園の地白佳代子園長は「急な休みが増え、人のやり繰りがとても厳しい」と訴える。「PCR検査で陰性となれば出勤も可能だが、医療機関も混雑していてすぐには検査してもらえず、人手不足が続いている」と語る。
市はこうした状況が長期化した場合、保育の維持が困難になる恐れもあるとみて1月27日、保育施設や幼稚園を利用する保護者に登園の自粛を要請。その結果、翌日以降の登園者数が通常の3分の2程度となった園もあるが、2人の子どもを市内西部の保育園に預けている青雲町の会社員男性(36)は「自分も妻も急に休むことは難しい」と困惑する。
4歳の息子を保育園に通わせ、飲食店でパート就労している美原町の女性(28)も「感染が心配なので保育園を休ませたいのが本音だけど、休んだら収入が減ってしまう」と嘆いた。