苫小牧市は11日から、新型コロナウイルスワクチン3回目接種で、国の方針のさらなる前倒しを実施する。2回目接種から6カ月経過した18歳以上の市民を、米モデルナ製を使う集団接種会場(グランドホテルニュー王子)で受け入れる。モデルナ製の「不人気」を逆手に取った異例の先行接種で、市健康支援課は「資源を有効活用し、積極的に接種に取り組む」としている。
対象は市に住民登録がある18歳以上で予約制。接種日に2回目接種から6カ月が経過し、3回目接種券が届いていないことが条件。接種日時は11、12、17~19、24~26日の午後3時と同4時で、1日当たり300人。市ホームページの「申し込みフォーム」で1月31日から予約を始めた。同課は「申し込み状況を見て、3月以降も検討する」と説明する。
背景は、モデルナの不人気だ。市は3回目接種を、個別(52医療機関)は米ファイザー製、集団はモデルナとすみ分けた上、1月19日から65歳以上の市民約2万人に接種券を送付した。同下旬から各医療機関で順次接種を展開しているが、2月末までの予約状況はファイザー約1万2000人に対し、モデルナが約600人にとどまっている。
同課は「『モデルナは嫌』というより『同じワクチンを打ちたい』という心理が働いているのでは」と分析。初回(1、2回目)接種を終えた市民約13万5000人のうち、9割弱の11万7000人がファイザーを使い、モデルナは職域接種の約1万8000人と1割強だった。
3回目接種については、医療や介護、保育など社会機能を支えるエッセンシャルワーカーをはじめ各所から早期の実施希望が寄せられており、同課は「『モデルナでもいい』という人は先行接種を活用してほしい」と呼び掛けている。
3回目接種は2回目終了から一定の期間が経過した18歳以上。国は当初、接種間隔をおおむね8カ月以上としていたが、その後、6カ月で打てるとした。ワクチン供給量を踏まえ、65歳以上は2月実施の場合7カ月、3月以降は同6カ月に短縮し、64歳以下も7カ月とする日程を示していた。