道は21日、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を開き、警戒レベル分類を「1」から「2」に引き上げ、特措法に基づく「まん延防止等重点措置」を国に要請することを決めた。道内全域の飲食店に営業時間短縮を要請し、非認証店には酒類提供の自粛を求める。記者会見した鈴木直道知事は「日本全体がこれまで経験したことのない状況に直面しており、本道も重要な局面を迎えている」と強調し、「このまま新規感染者数の増加が続いた場合、医療の逼迫(ひっぱく)、社会機能の維持への影響が生じる恐れがある」と道民に協力を呼び掛けた。
知事は同日夜に岸田文雄首相に文書で要請し、週明けの25日にも国が適用を正式決定する見通し。道内への「まん延防止等重点措置」の適用は昨年8月以来、通算4度目となる。
飲食店への時短要請は、感染対策を取って「第三者認証」を取得している店には酒類提供を認め、提供時間は午後8時まで、営業時間は午後9時まで、認証店で酒類を提供しない店には午後8時までの時短を要請する。一方、非認証店には酒類提供の自粛を要請し、営業時間は午後8時までとする。要請に応じた店には1店舗当たり1日2万5000円~10万円(大企業は最大20万円)の協力金を支給。また、1グループの客の人数は原則4人以内とし、感染対策をした上でカラオケ設備のサービスを提供することは認める。
イベントでは観客の上限を5000人とするが、十分な感染対策が取れる場合は2万人とする。ワクチン接種証明書や陰性証明書の提示で飲食店やイベントの人数制限を緩和する「ワクチン・検査パッケージ」は実施しない。
この他、旅行割引の「どうみん割」は22日から新規予約を停止。飲食割引の「Go To イート」も重点措置適用後にテークアウトと宅配に限定する。
道民に対しては、不要不急の都道府県間の移動を極力控えるよう求める。
知事は、道内の直近1週間の新規感染者が30代以下の若者世代で73・2%を占める一方、60代以上の感染者も1週間で3倍になっていることを指摘。病床使用率は20日時点で17・9%と、まだ「レベル2」の基準(20%)に達していないものの「今週末から来週初めには20%を超える見込み」と重点措置適用の必要性を強調した。
また、感染者急増を踏まえ、重症化を防ぐ具体的な対応として▽迅速な入院調整▽適切な健康観察▽経口治療薬の投与▽疫学調査の重点化―の4点を挙げた。疫学調査に関しては「これまで保健所が実施してきた濃厚接触者への調査については、高齢者施設など重症化リスクが高い施設や同居家族などに重点化していく」との姿勢を示した。
■「まん延防止等重点措置」の道の主な対策(対象は道内全域)
【飲食店の第三者認証店】
・酒類提供は午後8時まで、営業時間は午後9時まで。
・酒類提供がない店は、営業時間は午後8時まで。
【飲食店の非認証店】
・酒類提供の自粛を要請。営業時間は午後8時まで。
【道民の行動変容】
・混雑している場所や感染リスクが高い場所への外出・移動を控える。
・不要不急の都道府県間の移動は極力控える。
・飲食は4人以内など少人数、短時間で。
【学校】
・修学旅行、宿泊学習などでは、感染リスクの高い活動は実施を慎重に検討し、道外の緊急事態措置区域やまん延防止等重点措置区域は旅行先としない。
・部活動は活動を厳選し感染対策を徹底の上、実施し、これが難しい場合は休止する。
【公立施設】
・業種別ガイドラインに基づき、地域の感染状況に応じて入場者の整理など感染防止対策を徹底する。