(11) 製造、流通事業を強化 「食」以外のデリバリーも試行 フジタコーポレーション 遠藤 大輔社長(45)

  • 企業トップに聞く2022, 特集
  • 2022年1月21日

  ―昨年を振り返って。

   「おととしは暗闇の中だったが、昨年は少し光が見えた。新型コロナウイルス感染拡大の影響は大きく、外食フランチャイズの営業時間短縮などで売り上げはピーク時で2割強減った。昨年10月に緊急事態宣言が明けてからは回復し、同12月には100%以上になる店も出てきた。ウィズコロナの事業の組み立ても変わってきたがそれが光。コロナ禍でも上場企業の半分は収益が上がり、半分は苦しんでいる印象。その違いが何なのか、改めて判断しながら、経営のかじを取りたい。変化していかないといけないと思う」

   ―どのような変化か。

   「コロナで皆さんの食の意識、取り方がかなり変わってきた。われわれは外食産業を意識して事業を進めてきたが、お客さんがお店に食べに来てくれる環境にない。少子高齢化も含め、もともと外食産業は厳しかったが、コロナによって厳しいスピードが一気に押し寄せた。食にこだわって取り組んできたため、食以外に向かうのはなかなかできないが、視野を広げていくことはできる。食のインフラに入っていけるような、ビジネスモデルに転換しようと考えている」

   ―今後、新年の展望は。

   「昨年10月から後志管内黒松内町のトワ・ヴェール(特産物手づくり加工センター)の指定管理者になり、チーズやハムなどの工房を受託する、当社としては初の取り組みがスタートを切っている。今年はさらに広げていきたい。コロナ禍で進めてきたデリバリー、流通事業も伸ばしたい。デリバリーは食ばかりでなく、日用品など一般雑貨も含めて、その人のライフプランに合わせて利用されるよう試行している。数字的な目標は現時点で言えないが、製造、流通が強化のポイントだ」

   ―具体的な方策は。

   「今年からチーズやハムの生産拡大に向けた設備投資、デリバリー事業拡大に向け、システム構築などを考えている。約1億7000万円の投資資金は、新株発行の第三者割当増資で調達する。コロナで『外食一本ではだめ』ということを痛感した。いま一度しっかり目標設定を示して進めていく。札幌や東北などでコロナによる打撃を受けた、アルコール提供の『夜の業態』は、閉店も視野に整理していく」

   ―脱炭素の取り組みは。

   「まだまだ勉強中。飲食事業でも何ができるのか、先行事例を見ながら考えていければ」

  メモ

  東京証券取引所ジャスダック上場企業。ミスタードーナツやモスバーガー、かつてんなど外食フランチャイズを中心に展開。全国で計67店を運営している。

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