道内の新規感染者数が過去最多の1170人となった19日夕、鈴木直道知事は記者団の取材に応じ、国へ特措法に基づく「まん延防止等重点措置」を要請する方向で最終調整に入ったことを明らかにした。デルタ株からほぼ置き換わった新変異株「オミクロン株」の感染のスピードが極めて速いことなどを踏まえた措置。21日に道の感染症対策本部会議を開き「警戒レベル2への移行と、まん延防止等重点措置の要請について判断していきたい」との姿勢を示した。
18日時点で道内の直近1週間の10万人当たりの新規感染者数は71・1人、療養者数は75・8人となり、道のレベル分類で「まん延防止」要請を検討する「レベル2」の基準(新規感染者数15人、療養者数20人)を大幅に超えている。一方、病床使用率は15・8%と基準(20%)を下回っているものの、知事は「1日当たり平均1%ずつ上昇しており、今のペースで行くと今週末から来週の初めに20%を超えてくる」と見込む。21日の対策会議までに有識者や市町村の意見も聴き、「まん延防止」の要請へ踏み切る方向だ。
道内の感染状況は「第5波」までは札幌と周辺地域が中心となっていたが、知事は「第6波」について「今は全道域に広がっている」と強調。「まん延防止」が適用された場合、「こうした状況も踏まえて対象の区域を決定していきたい」と述べた。
飲食店に関しては▽営業時間の短縮▽利用人数の制限▽酒類提供の自粛―の要請を検討中。国の基本的対処方針では「認証を取得していない店は酒類の提供ができない」と説明し、認証店と非認証店で「対応に差が生じる」ことも指摘。「有識者の意見や他県の状況も参考に」具体的な対策を詰める構えだ。
知事はオミクロン株の特性として「感染拡大のスピードが極めて速く、軽症者が急激に増加。その後、高齢者に伝播(ぱ)し、入院者が増加する。そして社会機能の維持が困難となる懸念がある」と説明。道民や事業者にはこの特性を念頭に「徹底した感染防止行動を実践してほしい」と呼び掛けた。