―2021年はどんな年だったか。
「業績面では、さまざまな市場環境の変化があり、苦戦の連続で、前年並みを維持するのが微妙な状況となっている。道内はDX(デジタルトランスフォーメーション)の推進速度が緩やかで、業績を押し上げるまでには至っていない。明るい材料としては、自社ブランドの製品やサービスが着実に実を結び始めている。図書管理システム『お気軽図書館』の累積販売数が1000台を超えた」
―業界の現状と課題は。
「一つは、国が推し進めるデジタル化『ガバメントクラウド』や自治体の情報システムの標準化が25年に向けて進められており、中央集約型の方向に動いている。当社も含め、地方のIT(情報技術)企業は大きなダメージを受けることになる。二つ目はデジタル化を支える人材の争奪戦が目まぐるしくなっている。IT業界で好調なのは外資系や国内大手の話で、地方は黒船襲来クラスの劇的な変化の中にあり、変われない会社は淘汰(とうた)される側になる。創業以来の厳しい環境だが、危機感を持ち、事業の変革を大胆に進めていく」
―新型コロナウイルスの影響、ポストコロナを見据えた戦略は。
「社内では働き方が大きく変わった。遠隔地の顧客とリモート会議・面談が大幅に増えたことで、移動の時間的なロスの削減効果が鮮明に出ている。一方、社内でコミュニケーションの密度が低下した。親睦行事や宴会などが皆無で、社員間の意思疎通を高める工夫が必要だ」
「コロナ禍を契機に、働き方改革やデジタル化、テレワークは共通のステージとなり、連動して社会と経済の構造的変化を起こしている。道内全域や本州の企業との連携がネットワークの活用で容易になっている。『場所を選ばないビジネスの創出』がポストコロナの戦略ポイントだと考えている。地方都市に生きるハンデを埋めて、地方の利点を前面に出せるビジネスを創出できると思う」
―22年の展望は。
「地域企業や公共団体のネットワークをサポートするサービス『地域BWAサービス』を本格的に立ち上げる。大きな投資となるが、今後の事業の柱として育てていきたい。また、冬季北京五輪の女子アイスホッケー日本代表に社員1人が選ばれた。創業以来初めてのことで、全社を挙げて応援したい」
メモ
苫小牧電子計算センターとして1970年7月設立。データセンターの運営や地方公共団体向けの業務支援システムの提案などを行う。