5 コミュニティナース・川田(かわた)幸香(さちか)さん(37)元気で暮らせる社会に、医療や健康の知識伝える

  • 地域の力 超高齢社会を生きる, 特集
  • 2022年1月18日
認知症カフェの参加者と語り合う川田さん(左)

 在宅高齢者の生活を支える訪問看護師として働き始めて7年。仕事を通し、高齢者や介護する家族が地域で孤立する状況を目の当たりにしてきた。

 そんな中、3年ほど前、地域に出向き、住民が生き生きと暮らせるまちづくりを進める医療人材「コミュニティナース」活動を白老町でスタートさせた。看護師の経験を生かしながら、皆が元気に暮らせるまちの在り方を探る日々だ。

 活動を重ねるうち、制度やサービスの充実だけでは解決しないことがあると確信した。誰もが気軽に相談できたり、愚痴を言い合えたり、困ったときに助け合ったりできる環境こそが、住民の元気につながるのではないか。今はそんな地域づくりに少しでも貢献することが、自分に課せられた役目だと思っている。

 苫小牧市出身。市内の医療機関で看護師として7年ほど働き、結婚を機に退職。長男を出産して1年が過ぎた頃、看護師として再び働き始めた。高齢者向けのデイサービス施設やグループホームに数年勤めた後、訪問看護の道に進んだ。

 個人宅を訪れる仕事に就き、最も衝撃を受けたのは高齢者の孤立化と家族を介護している人にかかる負担の重さ。過酷な介護から来るストレスで、虐待や殺人といった最悪の事態に発展していてもおかしくないと思ってしまうほど深刻な状況に置かれている人が、市内にも少なくないことを知った。

 介護や医療の主軸が病院や施設から地域、自宅に移行しつつある一方で困っている人が孤立し、取り残されているという矛盾。もどかしさを募らせる中で知ったコミュニティナースという存在。「自分にも何かできるのでは」と考え、養成講座を受け、人口の約半分が65歳以上の白老町を活動拠点に選び、町内のサロンに通った。

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 「高齢の夫が歩くのをおっくうがり、家から出なくなった」「最近、血圧が高くて不安だ」。何気ない会話からにじみ出る、生活上の不安や心配事。多くの人は話すだけですっきりした様子だったが、何らかの支援が必要と思われるケースも。自分が持つ医療や健康に関する知識を伝え、地域資源を紹介すると、相手の不安そうな顔がほっとした表情に変わった。

 21年には、苫小牧市にも活動範囲を拡大。同年4月、知人と認知症の啓発活動をするボランティアグループ「ココロズ」を立ち上げた。市の委託で月に1回、市内の飲食店で認知症カフェも開催。介護や認知症に関する情報提供、家族を介護する人らの交流機会を設けてきた。

 コミュニティナースとして歩み始めたものの認知度はまだ低く、新型コロナウイルスの影響で思うように活動を広げられていない。それでも制度やサービスの枠組みを越えたこの活動から、超高齢社会を生きるヒントが得られると信じている。

 「高齢者が増えることは、決してマイナスなことではない。みんなが元気に生き生きと暮すことができていればいいだけ」。そのためには、地域のつながりが何よりも重要だと感じている。

 (姉歯百合子)

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