(9)電動化進めCN貢献 今夏新ラインが完成 アイシン北海道 伊藤 伯社長(61)

  • 企業トップに聞く2022, 特集
  • 2022年1月18日

  ―昨年を振り返って。

   「昨年に引き続き新型コロナウイルスに左右され、生産の変動が非常に大きかった。前半は好調だったが、東南アジアの部品が入らず、昨年9、10月は工場を6日間休止し、バルブボデー、リヤケースなどを減産した。半導体だけではなく、小さな樹脂部品など、もろもろ影響が出た。需要は高いが、作りたくても作れなかった。材料価格の高騰による影響も徐々に出ているが、まだ大きな衝撃にはなっていない」

   ―減産の影響は。

   「昨年11月からフル生産に戻った。生産体制も、通常の2直2班体制(週平日5日間稼働)から、土曜日も稼働する2直3班にした。従業員は応援を含めて約480人体制。雇用を維持し地域に貢献したい。年明けも高負荷の状況が続く。前年度の売上高約93億円に対し、今年度はまだ3カ月あり確定ではないが、110億円超えと過去最高になりそう。2025年に向けた5カ年計画は現時点で、年間100億円ぐらいの売り上げ維持を見込んでいる」

   ―新年の展望は。

   「設備投資は20、21年度に10億円ぐらい投資したので、22年度は8億円ぐらいと一段落する。今年度投資でアイシングループ主力商品の(エンジン内を冷却する)電動ウオーターポンプ部品のラインを整備しており、夏には完成する。これまでもウオーターポンプを作っているが、製品の電動化で事業が広がる。しっかりと競争力を高めたい。自分たちも、供給先も、カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ、CN)に貢献できる」

   ―CNの考え方は。

   「アイシン全体で50年のCN目標達成に向けた活動を推進している。マイルストーンとして30年目標を掲げ、生産部門も二酸化炭素(CO2)削減を進める。水素ガスを使った溶解炉を作れないかなど、新しい技術は本社サイドで基礎研究しており、グループを挙げて取り組む。当社も第一ステップとして、太陽光発電の導入を計画している。22年度に予算化・整備し、隣地約2万平方メートルにソーラーパネルを設置する。発電事業者に発電してもらい、自社で買い取りする。発電量は工場で使う使用量の5%ぐらい。製品の電動化と自分たちのCN。計画は作っているが、中身はまだこれからで、25年に向けた道程を作り込む」

  メモ

  世界各地に生産拠点がある自動車部品総合メーカー、アイシン(愛知県)の100%子会社。アルミ鋳造部品を製造している。

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