4 春日清水町内会安全部・伊藤(いとう)惠(めぐみ)さん(76)ふれあいサロンを運営、老後の暮らし豊かに

  • 地域の力 超高齢社会を生きる, 特集
  • 2022年1月17日
「えがおさろん」の司会進行を務める伊藤さん

  「住民同士が気軽に近況報告したり、相談したりする中で、老後の暮らしが豊かになる近所付き合いを実現させたい」

   苫小牧市の春日清水町内会で防犯、防災を担当する安全部の一員として活動しながら、2010年から民生・児童委員を務める。翌11年に市社会福祉協議会から「ふれあいサロン」の立ち上げを依頼され、同年12月、仲間と協力し、春日清水町総合福祉会館ホールで第1回「えがおさろん」の開催にこぎ着けた。

   サロンを毎月の楽しみにしてもらおう―と開催日を第4火曜日に設定。午前10時から午後3時まで65歳以上の約30人が集まる。お茶やお菓子を囲んでおしゃべりする茶話会「おしゃべりタイム」が活動の中心だが、ビデオを見ながらの簡単な体操で体をほぐした後、輪投げやパズルなどにも挑戦。和気あいあいとした雰囲気の中、くつろいでもらうことを心掛けている。

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   追分町(現安平町)出身。苫小牧工業高校卒業後は電力会社で働き、道内各地を転勤した。苫小牧には1994年から定住。定年退職後、春日清水町内会で安全部に所属する傍ら、役員の少なさをカバーするため地域福祉を担う厚生部の活動も担う。「お年寄りが安心して生活できるような町内会で在りたいという思いは皆で共有できている」。

   サロンは参加者の自主性を重視し、お茶くみもセルフサービスとなっている。

   昨年12月21日のサロンには、22人が参加。パイに見立てたアルミホイル製のフリスビーを4回投げ、合計得点を競う「パイ投げ」ゲームを楽しんだり、間違い探しの脳トレをしたりしてゆっくり過ごした。終始にぎやかな雰囲気で、最後は童謡の「ふるさと」を合唱。全員で片付けをして解散した。

   参加者の表情は皆、穏やかだ。山岸昭一さん(88)は「月に1回でもたくさんの仲間と気兼ねなく話ができる機会はありがたい」と笑顔。成田敏子さん(83)も「一緒に運動して世間話するのは楽しい。老人を狙った詐欺の話や、防犯情報などを共有したりできる場でもある」と話す。

   「えがおさろん」は昨年、新型コロナウイルス禍で計画した12回中9回の中止を余儀なくされ、専門家を迎えた健康体操教室などの実施は見送った。今後も感染状況を見極めながらの運営は続く。

   サロンの運営委員は現在、町内会の回覧板での募集で確保した男女計10人。65歳以上が半数を占め、40代以下はいない。来年4月で発足から丸10年。当初から活動をけん引してきたが継承も視野に「コロナが明けたら勉強会の機会も設けるなどして、若い人たちの参加も積極的に促していきたい」と前を向く。

         (半澤孝平)

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