冬だけに活動 ガのような昆虫

  • 教えてムラさん, 特集
  • 2022年1月14日
シャクガの仲間

  Q…公園を散歩していると小さなガのようなものが飛んでいました。何でしょう?

   A…冬に活動する昆虫は少ないですが、冬だけに活動する昆虫がいます。見ることが多いのはフユシャク(冬尺)と呼ばれるガの仲間です。

   フユシャクの仲間は気温の低い冬から早春にかけて成虫が現れます。日本には36種類が生息していて、北海道にはクロスジフユエダシャクなど22種類が生息しています。冬に活動しますが、雄は氷点下6度、雌は同7度くらいが活動の限界気温です。

   冬にフユシャクの成虫が現れるようになったのは、昆虫を食べる野鳥から逃れるためだと考えられています。昆虫が活発に活動する春から夏は、野鳥の子育て時期で、親鳥はたくさんの昆虫を捕まえてひなに与えなければなりません。そのため野鳥は昆虫がたくさん現れる季節と繁殖期を一致させるように生活のリズムを進化させてきました。一方、昆虫は野鳥から逃れるために保護色や擬態などの防衛術を進化させてきました。フユシャクは野鳥に食べられることが少ない冬に活動することで、野鳥から逃れていると考えられています。

   林の中などを飛び回っているのは雄で、雌は羽が退化して飛ぶことができません。雌は木の幹の上などにいて匂いを出し、雄を呼び寄せて交尾、産卵をします。春に現れた幼虫は、成長して初夏になると土の中でさなぎになり、冬まで眠り続けます(夏眠)。

  (文とイラスト 自然誌研究家〈ゆうふつ原野自然情報センター主宰〉村井雅之)=随時掲載

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