―昨年を振り返って。
「新型コロナウイルス感染拡大は業務にそれほど影響がなかった。分譲は途中でストップした案件もあったが、コロナにほぼ関係なく進んだ。ここ3年ぐらいは分譲自体、好調。2020年度は売上高が新会社になってから最高の23億円以上だったが、今年度もいろいろな分譲案件が進んでいる。安平川治水対策の遊水地整備もあり、営業努力だけではなく、外部要因で積み上がったものもある。ただ、コロナは今後も不安はあるので、引き続き対策しないといけない」
―苫東地域の展望は。
「毎年言っているが、苫東の今後は食とエネルギー。どちらもなくならないし、北海道が国に貢献できる分野。苫東としても貢献できる展開を考えている。食は(2020年から苫小牧市弁天で)大型冷凍冷蔵庫が稼働しており、臨海部を食の物流拠点にしたい。産地は倉庫不足で、苫東は港があるので東京などで需要があればすぐに出荷できる。道内食料の中間デポ、中間貯蔵庫としてニーズは高いと思う。20年から冷凍庫北側約5・5ヘクタールに造成している区画を、どういう対象、ルートで営業するか検討している」
―エネルギーは。
「カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ、CN)は苫小牧で盛り上がり、いろんなところで議論されている。苫東は太陽光発電や風力発電の計画があり、北電苫東厚真発電所の石炭火力も、どのように組み替えていくか検討されるだろう。CN関連で分譲の問い合わせもあり、『苫東は使える』と思っていただけている。実現には周辺環境を整える必要があり、コストの問題も大きいと思うが、臨海部や発電所の隣接地をはじめ活用されていけば。来年、再来年のすぐではなく、長期的な問題として期待している」
―伊藤社長も苫小牧CCUS・ゼロカーボン推進協議会の専門部会でCN議論を進めている。
「苫小牧がCNで何ができるか議論をしている。50年に製油所や石炭火発がゼロになるかといえば恐らくなくならず、二酸化炭素(CO2)も相当出し続ける。苫小牧は特にCO2の排出量が多い産業都市。CN実現の目標はいいが、現実解にはならない。『苫東でこんな事業ができたらいい』という話もあるが、北海道全体でどうするかという視点が大事だ」
メモ
苫東は日本最大の産業地域。苫小牧、厚真、安平の計約1万700ヘクタールで東京・山手線の内側の1・7倍に当たる。同社が土地造成、分譲、管理、賃貸している。