―昨年を振り返って。
「2020年に続いて新型コロナウイルス流行の影響が大きい1年だった。石油製品、インフラを支える責任感で感染防止対策を徹底した。触媒交換を含めて現場の工事もあったが、20年に道内外の作業員約5700人を動員した大規模定期補修工事(シャットダウンメンテナンス、SDM)のコロナ対策が功を奏し、クラスター(感染者集団)発生ゼロを達成できた。SDMで築いた対策の基盤は、地元関係者のご指導がベース。感謝している」
―原油価格高騰の影響は。
「影響はなく、例年通り。冬の北日本は石油や軽油を中心に需要が旺盛で、当製油所はほぼフル稼働が続いている」
―新年の展望は。
「今のトレンドはカーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ、CN)。社内はもちろん、(昨年10月に設立された全市的な取り組みの)苫小牧CCUS・ゼロカーボン推進協議会など、議論する場が増えた。製油所でも役職1人、担当者2人の専門チームを設置し、情報を収集、分析しながら具体策を検討している。今年はさらに加速し、方向性を見いだしたい」
―製油所は化石燃料を大量に使う。CNとどう向き合うか。
「出光興産は中期経営計画で『責任ある変革者』を掲げている。当製油所は道内唯一の製油所。石油エネルギーの安定供給とCN、二つの変革を両輪にしながら、地元に引き続き貢献していく。特にCNは強みも多く、ものにしたい」
「(二酸化炭素を分離、回収、貯留する)CCSは既に実績があり、CNでカギになる水素の取り扱いは、当製油所に設備の管理や運転、保安管理で豊富な知識、経験がある。強みを生かし、次代のエネルギー供給地として発展させていく責任がある」
「一方で石油エネルギーの活用は当面続き、安定供給はおろそかにできない。(経済産業省が高度な保安を認めた)スーパー認定事業所として、保安のレベル、生産性を上げる。デジタル技術をうまく活用するなど、新しい生産スタイルに変革していく」
―来年は操業開始から50周年の節目だ。
「地元の皆さまには感謝しかない。(地域貢献などで恒例行事になっている)音楽会や桜の見学、小学校の出前事業なども、コロナ対策で形を変えてきているので、何ができるかコロナの動向も見ながら考えていきたい」
メモ
道内唯一の製油所。暖房用の灯油や軽油をはじめ、ガソリンなど石油製品を供給。原油精製能力は1日15万バレル、1年間で札幌ドーム5・5杯分。