自然現象を可視化

  • 特集, 美術博物館中庭展示より 雪待の庭
  • 2022年1月8日
澁谷俊彦《雪待の庭「薄雪」/SnowPallet14》鉄、蛍光塗料、2021年

 苫小牧市美術博物館は3月13日まで、中庭展示Vol.17澁谷俊彦「雪待の庭「薄雪」/SnowPallet14」を開催している。同館の細矢久人学芸員が展示内容を解説する。

 ◇

 「中庭展示」は、同館の中庭展示スペースにおいて、その空間を活用したインスタレーション(架設展示)を紹介するシリーズ企画であり、17回目となる今回は、冬や雪、自然や大地などから着想を得た作品を制作する美術家 澁谷俊彦(1960~)の手掛けるシリーズ「Snow Pallet」(2011~)の14作目となる新作を紹介している。

 太陽光や積雪量などの自然現象を援用する作風で知られる澁谷の同作は、白い鉄製のオブジェに塗布された蛍光塗料が太陽光の反射によって雪面に色光を表出させる北国ならではの展示だ。

 積雪量の少ない苫小牧での「Snow Pallet」の展示に際して澁谷は、“雪待の庭「薄雪」”というテーマを設け、スイレンや菌類などの植物をほうふつとさせる鉄のオブジェを配置した。中庭空間の上方と下方に配された円盤状のプレートの死角となる側面には、それぞれ蛍光色が施されており、それらの反射光がもたらす淡い色光は、空へ伸びゆくオブジェの姿と相まって幻想的な光景を創り出している。

 造形的な要素を最小限にまでそぎ落とした澁谷のオブジェは、季節や時間、天候といった自然現象が生み出す「作品」を可視化する「装置」のようにも映る。晴天時の移ろいゆく陽光、雨天時におけるプレートを弾く無数の水滴、そして冬期間の積雪や氷結が生み出す繊細な形状など、その時々の自然現象に委ねられた、偶然性に依拠する空間の妙は、いわば「人工」と「自然」の協演ともいえる。そこにおいて繰り返される自然の変容は、日常に潜在する美への気付きを見る者に促すことだろう。

 本展は3月中旬までの長期展示となる。この機会に、自然との共生を探求する澁谷の軽妙洒脱な作品世界に触れていただきたい。

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 午前9時半~午後5時。月曜休館。観覧料は300円、高校・大学生200円、中学生以下無料。

 (苫小牧市美術博物館学芸員 細矢久人)

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