―昨年を振り返って。
「苫小牧製造所の日本軽金属グループ6社は、業種によって違いはあるが(新型コロナウイルス感染拡大による落ち込みから)受注が戻り、全般的に良かった一年だった。ただ、受注があっても半導体や建材、輸入材が入ってこないなど苦労した時期はあった。日軽パネルシステムは断熱、不燃パネルを作れるようになって4年目、今までとは違う顧客も増えた」
「日軽北海道のサービス事業だけは相変わらず苦戦している。バスも緊急事態宣言が明けた10月から修学旅行などが入るようになったが、それ以外の行事利用はほとんどなかった」
―今年の展望は。
「原材料の価格高騰をどう乗り切るか。原油だけでなく、アルミニウム地金など、あらゆる材料の価格が上がっている。われわれもコストダウンしなければならないし、上昇分の転嫁は丁寧に説明しないといけない。海外のコロナ拡大の影響で、物が動かないことが大きい。生産は元に戻りつつあるが、完全復活はまだまだと思っている」
「体育館を車いすバスケットチームの活動場所として提供しているが、今後も地域貢献に力を入れていきたい。今年度は苫小牧工業高等専門学校と共同研究で車いすの開発も進めてきた。来年度は試作機を作る予定。地元のパイプを太くしていきたい」
―アルミ製品を加工製造する日軽北海道は設備投資(長尺加工機、NC加工機の導入など)を終えた。
「コロナで思うように営業活動できず歯がゆいが、新規を取り込んで工場をフル稼働に持っていきたい。安全第一、常にゼロ災害を目指して付加価値の高い製品を作り、足固めをしていく。これまで取り組んでいなかった橋の高欄などいろんな加工に対応し、北海道、東北で事業を積極的に進めたい。お客さまの動向などを聞きながら戦略を立て、製品開発したい」
―カーボンニュートラル(温室効果ガスの排出ゼロ、CN)の取り組みは。
「アルミはリサイクルの優等生。再生は(地金製造に比べ)3%の電気で済み、グループとして環境への意識は高い。日軽パネルは高い密閉性、断熱のパネルでエネルギーコストを下げ、CNに貢献できる製品を作る。自動車部品製造の日軽松尾は5月に、溶解炉の一部を低燃費のものに更新する。CNはハードルが高く時間が必要だが、計画的に進めたい」
メモ 「日軽金」の略称が定着しているアルミニウムの総合メーカー。苫小牧製造所(晴海町)は日軽金の新規事業、加工製品事業を担う。敷地面積は93万平方メートル。