アイスホッケー女子日本代表(スマイルジャパン)で苫小牧出身の39歳、久保英恵(SEIBUプリンセスラビッツ)が、競技生活の集大成と位置付ける北京五輪に挑む。「出るたびに悔しい。だから次を目指したくなる」。次こそはという思いに、いつも背中を押されてきた。
正確なシュート力とここ一番の勝負強さから「氷上のスナイパー」の異名を持つ。エースとして日本代表を支え、2014年ソチ五輪に31歳で初出場。感じたのはチームが5戦全敗に終わった屈辱だった。
35歳で迎えた次の平昌では、日本の五輪初勝利に貢献したが6位。もっと上を目指したいという渇望が湧いた。故障も抱え、一年一年が勝負だったこの4年間、五輪への思いはあせていない。
昨年8月の世界選手権ではチーム内での起用法が変わった。アイスホッケーでは試合中に何度でも選手交代できる。飯塚祐司監督は得点が欲しい場面で久保を切り札として投入する形を取った。
久保は自分の体力面を冷静に見詰め「チームとして成り立たないといけない」と受け入れた。短くなった出場時間の中で、チーム2位の大会通算3得点。実力は健在だ。
日本は1998年長野大会後、3大会連続で五輪出場を逃した。選手はアルバイトをしながらプレーしていたという。久保はその苦しい時代を知るだけに「結果を残さないとアイスホッケーに目を向けてもらえなくなる」という危機感を持ち続けている。「(北京では)チームとしてもっともっとできると思う。その中で得点をして、いつまでも『スナイパー』だったと思ってもらいたい」。本番では力のすべてを出し尽くすつもりだ。