Q…苫小牧市緑ケ丘公園を散歩していると、散策路に割れたオニグルミを見つけました。誰の仕業でしょう?
A…オニグルミの殻はとても堅いので、殻を割って食べることができるのはカラスとネズミ、リスの仲間くらいです。特に二つに割ることができるのは、カラスとリスの仲間だけでしょう。
カラスとリスは殻の縫合線(殻のつなぎ目)にくちばしをこじ入れたり、歯でかじったりして二つに割ることが多いです。ネズミは殻の側面をかじって穴を開けます。
動物が食べた跡を食痕(しょくこん)と言います。食痕は動物の種類によって特徴があります。そのため食痕を見れば、どんな動物が何を、どのように、どのくらい食べていたのかが分かります。それらの観察情報を集めることで、普段は見ることの難しい動物の生態を推測することができます。また食痕の他に、足跡やふんなども情報源になります。このように動物の残した痕跡を観察することを「アニマルトレッキング」と言います。
アニマルトレッキングはハンターなどが獲物追う技術として発展してきました。それを自然観察や野生動物の研究に生かす基礎をつくったのが、「シートン動物記」の著者であるシートンです。現在は動物生態学や動物行動学を研究する技術として不可欠なものになっています。ちなみに野鳥や昆虫などにも同様の技術があります。これから雪の季節です。雪の上に残された痕跡を探してみてはいかがでしょう。
(文とイラスト ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之)=随時掲載