57年ぶりに東京開催された夏季五輪(7月23日~8月8日)で、苫小牧ゆかりの選手たちが躍動した。新型コロナウイルスの影響で1年延期、無観客実施という数々の苦境を乗り越え国民、市民に勇気と感動を与えた。
世界一の称号、金メダルを獲得したのは野球日本代表の田中将大(33)=プロ野球東北楽天=、伊藤大海(24)=同北海道日本ハム=両投手。共に駒大苫小牧高出身で、伊藤選手は苫小牧駒沢大(現北洋大)でもプレーした。
田中選手は登板こそ1試合にとどまったが、海外経験豊富なベテランとして若手中心のチームをベンチ内から鼓舞し続けた。その期待に応えたのがプロ1年目の伊藤選手。救援投手として、韓国との決勝トーナメント準決勝では同点の七回から2イニングを投げ被安打1の無失点。味方打線が八回に3点を挙げ勝利投手になると、決勝の米国戦でも七回の1イニングを無失点で切り抜けた。
両選手が巣立った駒大苫小牧高野球部監督の佐々木孝介さん(34)は「2人の姿から指導者、部員全員が勇気をもらった」と言う。
スケートボード女子パークで銀メダルに輝いたのは苫小牧市在住の中学生、開心那選手(13)。大会当時は12歳11カ月で、日本人選手最年少のメダル獲得記録も作った。持ち前の高いエアから難易度の高い技を繰り出す姿は、見る人をとりこにした。「女子選手が成功したことのないトリックを練習していきたい」とすでに3年後のパリ五輪に向け、意欲を燃やしている。
16年のリオ五輪に続いて、卓球男子団体のメダル獲得に貢献したのは丹羽孝希選手(27)=スヴェンソン=。水谷隼選手(32)=木下グループ=、張本智和選手(18)=同=と共に銅メダルをつかんだ。
五輪後の9月に苫小牧市の岩倉博文市長と行ったオンライン会談では、「日本での五輪。また必ずメダルを取るんだという強い気持ちでプレーした」と語った丹羽選手。特に団体戦勝利の重要な鍵を握るダブルス戦では、全4試合に出場して3勝1敗と安定した強さが光った。
パリ五輪挑戦への明言は避けたが、小学校低学年時に丹羽選手が所属していた卓球クラブ苫小牧ジュニアの泊谷次郎代表(70)は「パリでもうひと花咲かせてもらえたら」と期待していた。
(北畠授、石井翔太)