本格的な冬を迎え例年同様、苫小牧港の漁港区周辺ではカレイなどの大物よりチカなどの小物を狙って釣りを楽しむ釣り人が増えてきた。12月中旬、釣り倶楽部は苫小牧港・西港の船だまりで釣りを楽しむ家族に話を聞いた。
◇短時間でも楽しめるサビキ釣り
この日、札幌市から家族4人で苫小牧を訪れた豊川舞奈さん(10)は、今年から釣りにトライする「ルーキーアングラー」。今回は小物狙いのサビキ釣りにチャレンジした。夕まずめ、30分ほどで20センチ前後のアブラコやガヤ(エゾメバル)など4匹を釣り上げ、「魚が掛かるとすごくさおが震えて、釣り上げるまでが楽しい」と笑顔だ。
最近は釣りを題材にしたネットゲームなども多く、舞奈さんも「ゲームで面白かったから、実際にやってみたかった」と祖父の手ほどきで釣りデビュー。釣り餌に使った魚の切り身はお母さんが用意し、家族で力を合わせて好釣果を呼び寄せていた。
◇釣り場を守ろう
苫小牧港では今年、釣り場が急速に減った。一部の釣り人による立ち入り禁止区域への侵入や貨物船の着岸、荷役作業の支障になる行為が増加し、港湾管理者が苦渋の決断を下した形だ。
苫小牧港管理組合など関係機関は、道内を代表する港の一つとして「市民に親しまれる港」を目指してきた経緯がある。「釣り」は、市民と港を結び付けるきっかけでもあり、港湾管理者は本来、危険防止などの観点から立ち入り禁止としながらも空き岸壁での釣りなどを事実上、黙認していた。心ない行為が、主要な公共岸壁での「釣り禁止」の看板設置につながった。
道内では、多くの釣り人が集中するサケ釣りを中心に禁止措置を取る港もある。釣り人の排除や規制の強化を招かないよう、安全やごみの回収などマナーを守って釣りを楽しみたい。