タマサイ―この華やかな首飾りは、アクセサリー感覚で気軽に身に着けることができるものではなく、儀礼などの特別な日の盛装として使用されてきた歴史を持つ。また、一つのタマサイが母から娘や孫たちへ継承される。それは、このような首飾りが単なる装身具ではなく、自分と先祖をつなぐイコロ(宝物)であることを意味する。
特別展示室では、少なくとも150年以上の歴史を持つタマサイを見ることができる。それは、旧鵡川町(現むかわ町)出身の吉村冬子さん(1926年~)が20代後半の頃に大叔母から譲り受けたものだ。今は孫の押野朱美さん、秋山里架さんの家族に受け継がれている。
アイヌ民族としてのアイデンティティーを持つ彼女らは、このタマサイを、先祖から伝えられたイコロとして大切にしている。押野さんと秋山さん姉妹は、「いずれ、身に着けるにふさわしい祖母のような人間になりたい」と話している。
(国立アイヌ民族博物館エデュケーター・両角佑子)
民族共生象徴空間(ウポポイ)中核施設・国立アイヌ民族博物館(白老町)の特別展「ビーズ アイヌモシリから世界へ」は12月5日まで開催。観覧料(ウポポイ入場料は別途必要)は大人300円、高校生200円、中学生以下は無料。休館は毎週月曜日。