Q…苫小牧の緑ケ丘公園でカワウソのような動物に遭遇した。知人はイタチではないかと言う。昔から生息しているのか。
A…残念ながら、カワウソである確率は極めて低いでしょう。ニホンカワウソは青森県から鹿児島県に生息していましたが、1955年以降目撃例が無くなり、2012年に「絶滅宣言」(環境省)が出されました。また北海道全域に生息していたユーラシアカワウソの亜種も1945年以降目撃例が無くなり、「絶滅」したと考えられています。絶滅の原因は毛皮目的の乱獲と生息環境である湿地の破壊と改修です。
湿地の多い勇払原野では、これまでカワウソではないかという目撃例が多く、1972年8月には樽前山麓やウトナイ沼周辺で「カワウソ発見!?」というニュースが50件以上流れました。しかし足跡や目撃情報、写真などを北海道大学動物学教室の教授だった阿部永博士に鑑定していただいたところ、ミンクであるという結論でした(昭和47年度苫小牧地区自然保護関係調査報告書苫小牧市)。
苫小牧周辺(緑ケ丘公園も)に生息するイタチの仲間にはイタチとホンドテン(キテン)、エゾクロテン、それに小型で観察が難しいイイズナとオコジョがいます。この中で、カワウソと間違えられやすいのはミンクとイタチです。
ミンクとイタチはカワウソに体形が似ていて水辺に生息しています。またミンクは泳ぎが得意で魚を好んで食べます。両種とも毛皮採取やネズミの駆除を目的に本州から持ち込まれた外来種です。勇払原野では、今も湿地の破壊と改修が続いています。次はどんな生き物が絶滅するのでしょう…。
(文とイラスト ゆうふつ原野自然情報センター・村井雅之)=随時掲載