苫小牧市美術博物館の収蔵品展「鳥のいる風景」が12月12日(日)まで、同館第3展示室で開催されている。立石絵梨子学芸員が、鳥をテーマに選んだ展示品11点を2回に分けて紹介する。
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鳥は、古今東西の美術作品に登場するモチーフである。彼らの姿は作品に、豊かな自然のありようを、そして象徴的な意味合いをもたらすものとしてさまざまな形で描かれてきた。
館蔵品の特徴は、北海道の自然景観を描いた作品が多いことであり、その中には鳥の登場する作品も少なくない。本展の企画に当たり、改めて“鳥の絵”を見直してみると、幾つかの作品が目に留まった。それらは、ウルトラマリンブルーで表現された夜の風景という点で共通しており、鳥たちは雄大で野性味あふれる力強さと、幻想的で繊細なイメージを持ち合わせたものとして描かれている。とりわけ苫小牧の画家たちの作品からは、やや湿気を帯びた夜の気配すらも感じられ、“青い絵”は、苫小牧らしい夜の風景ともいえよう。
横山順一郎の《鳥》(1971)では、夜に集う鳥たちの姿が描かれている。幾何学的な形に区切られた色彩のグラデーションには、光と影のコントラストに彩られた夜道の光景が思い起こされるものである。向き合うように配置された鳥たちは、夜の街角で立ち話をする人たちのようにも見え、さまざまな想像を誘う作品だ。